はじめに

連休明けから後半国会が始まり、連日、重要法案に関する国会審議が開かれています。会期は6月26日まで。特に今国会は終了後すぐに参議院選挙をひかえています。景気が不透明さを増す中、10月に予定されている消費増税は本当に行われる流れになるのか。政治・経済の将来を占う後半国会の行方は、いつも以上に注視したいところでしょう。

一方で、近年、人々が政治への関心を失い、国会の評価も下がっていることが一部の意識調査で指摘されています。確かに、ただでさえ政治の話題や言葉は難しくわかりにくいので関心が低くなりがちです。また、現在、政権と与党は意見一致で一枚岩のため「国会は結果が決まっている試合のようで退屈」といった意見も聞かれます。

しかし、本当に国会は難しくて理解できない、退屈なものなのでしょうか。そこで、まずは後半国会の現状把握のために状況をまとめつつ、国会を可視化する活動を展開する「国会パブリックビューイング」代表の法政大学・上西充子教授に“難しい国会審議をやさしく見るコツ”を教えていただきました。


今、国会はどうなっている?

1月28日に召集され、6月26日に終了予定の今年の通常国会。5月現在、後半国会と言われる後半戦が繰り広げられています。一つの議案や法案に対して、先に衆議院で審議・採決が行われることが多いため、この時期には、おもな重要法案の審議は衆議院から参議院に舞台を移しています。その後半国会も、残り約1ヵ月。

国会で議論するときは、両院それぞれで関連する委員会で審議された後、その院に所属する議員全員が参加する本会議で採決し、最終結論を出すという仕組みになっています。後半国会開始早々、委員会での審議を終え、本会議で賛成多数で可決。法案成立に至ったものもすでにでました。

例えば、幼児教育・保育を一部対象者において無償とする「子ども・子育て支援改定法」です。5月10日に参院本会議で可決・成立しました。実施は消費増税と同じ今年10月から。しかし、保育士の待遇が悪く、数も足りない中での実施に法案成立後も疑問の声が挙がっています。また、財源に消費税の増税分をあてることが決まっているため、実質、消費増税がなければ無償化もなし。

安倍総理は、今のところ「消費増税の延期はない」としていますが、「リーマンショック級のことがなければ」と条件つきの発言です。かつ、延期した場合の無償化の財源について問われると明言を避けました。与党もこれにならう形になっています。

予算委員会の開催

一方、野党は各審議に対応するとともに、おもに消費増税の実施の是非を問うための「予算委員会」の開催を求めています。

予算委員会とは、その名の通り、政府が出した1年の予算案について可否を決める会議です。一般的には通常国会前半の1〜3月に開かれます。直接の予算に関わること以外にも、内閣の政策方針や閣僚の資質が問われる重要案件が発生したときは、それらについても審議することができます。与党が開催に賛成すれば、そのときどきで開かれたり、集中審議が行われます。

消費増税以外に、前半国会で紛糾した統計不正問題の追及も積み残されているため、「行政監視の役割」から、改めて今、野党はこれらを審議できる予算委員会の開催を要請している、ということになります。

ほかにも、職場でのパワーハラスメント防止を義務づける「女性活躍推進法」の改正案、参院議員の歳費を削減する「国会議員歳費法」の改正案、新薬の条件付き早期承認制度の導入などを目指す「医薬品医療機器等法(薬機法、かつての薬事法のこと)」の改正案などの審議が実施・予定されています。

以上がごく簡単な後半国会の現況です。どれもわたしたちの働き方や暮らし、医療、そして税金の使われ方に関わり、生活やお金の使い方に少なからぬ影響を与えるため、国会のことは「わかっていた方がいい」「知っておくべき」。と、そこまでは改めて思った人もいるかもしれません。しかし、実際に政治のニュースも見たり読んだりすることは、前述したように、言葉の難しさなどからやはり、ハードルが高く感じるもの。

言葉が難しいだけなのか。もっと理解しやすくする方法はないのか。そもそも、実際の審議の内容を知りたいときは何をどう見ればいいのか。

生の国会審議を解説付きで街角で上映し、"みんなで国会を見る”活動をしている「国会パブリックビューイング」の代表の法政大学・上西充子教授は、次のようにアドバイスします。

[PR]NISAやiDeCoの次は何やる?お金の専門家が教える、今実践すべきマネー対策をご紹介