はじめに
国会審議をチェックする方法
では実際、ニュースだけでなく、国会審議そのものを自分でも見てみようかと思った時、どうすればいいのでしょうか。
実は、この時期、国会審議はニュースで断片的には取り上げられるものの、実際の審議の中身を知るためのNHKによる「国会中継」は行われていません。なぜなら、NHKの国会中継の対象となっているのは、基本的に1〜3月に開かれ、予算案を審議する衆参両院の予算委員会の一部とその本会議だけだからです。
しかし、心配ありません。両院のホームページから見られるインターネット中継やアーカイブ*4、そのほかニコニコ動画などの動画配信プラットフォームなどからも見ることができます。
また、ツイッターには「国会クラスタ」と呼ばれ、その中でも国会議員ではない一般の人で「国会審議を見るのが趣味」という人が実はたくさんいます。いわば、「国会オタク」です(中には、「国会議事堂になりたい」とすら言う方まで)。これらの人のアカウントでは、その日の国会審議の書き起こしがされていたり、大臣や議員の発言がまとめられています。
メディアの記者も参考にしたり、感心したりするほど詳細なことが多々あります。まとめられ方に党派や好みはあるかもしれませんが、「国会」などで検索すると探すことができるので、これらのアカウントをのぞいてみるのもいいでしょう。
審議は、1日で並行していくつもの議題がインターネット中継されているので、ある程度絞ってみたいときには、質疑者と内容、質疑時間のタイムテーブルは必須です。しかし、衆参のホームページには、そのようなものは掲載されていません。
直前まで誰が何時に質疑をするか変わるからです。一方で、政党の国会情報のツイッター・アカウントや質疑に立つ議員個人のアカウントから、ネット上で事前に公開掲載しています。
先ほどの「国会クラスタ」と呼ばれる人たちのツイッター・アカウントでも、これらの情報は頻繁にシェアされています。また政党によっては、質疑に使ったパネル資料が、ネットにあげられていることもあります。インターネット中継だとカメラ位置の都合でパネルが見えない時があるからです。中継や録画を見ながら、これらのパネルの確認も可能です。
野党合同ヒアリングの中継や振り返り動画を配信してくれている議員もいます。政党や国会議員自身が、こうして国会の中をどんどん開いていこうという動きは広がっています。国会議員は必ず、常任委員会の一つに所属しなければなりません。気になる議員がいたら、どの委員会に所属しているかを調べ、それを端緒に国会のその人の委員会の審議を見てみるのも面白いかもしれません。
*4 衆議院のインターネット中継、参議院のインターネット中継
上西充子(うえにし・みつこ)
法政大学キャリアデザイン学部教授。東京大学教育学部卒業後、同経済学部に学士入学し卒業。同大学院経済学研究科第二種博士課程満期退学。労働政策研究・研修機構の研究員を経て、2003年より法政大学教員。専門は社会政策、若年労働問題。ヤフーニュースの「「朝ごはんは食べたか」→「ご飯は食べてません(パンは食べたけど)」のような、加藤厚労大臣のかわし方」の記事で名付けた「ご飯論法」が「2018ユーキャン新語・流行語大賞」のトップテンに選出される。『大学生のためのアルバイト・就活トラブルQ&A』(旬報社)『10代からのワークルール』(旬報社)『呪いの言葉の解きかた』(晶文社・近刊)など著書多数。