はじめに
基本給はどんなところに影響がある?
お金の問題は労働条件の中でも特に重要です。従業員は会社にくらべると弱い立場にあることが多いので、労働条件は労働者と会社の双方の合意によって決まるのが原則です。「労働条件の不利益変更禁止の原則」ともいいます。
基本給は一度上げると勝手に会社が一方的に引き下げることができません。賃金減額の合理性が必要で、従業員の不利益の程度、減額の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、代替措置などのさまざまな条件をクリアして認められるものです。基本給が不本意に減額された場合は、弁護士や労働基準監督署などに相談したほうがいいでしょう。
基本給が多ければ、生活が安定します。先ほどのみなし残業でも触れましたが、基本給は残業代(時間外手当)に直結しています。
そればかりではありません。基本給は、ボーナス額にも影響します。ボーナスは基本給をもとに算定されますから、基本給が高ければボーナスの金額も高くなります。逆に基本給が低ければ、毎月の総支給額が多かったとしても思ったほどボーナスの金額がもらえなかったとなるでしょう。
さらに、基本給は退職金の算定基準にもなっています。退職金の規定は会社ごとに違うので、すべての会社にあるわけではありません。退職金規定がある会社では、基本給から退職金が判断されるので、長い期間になると大きな金額の差が生じます。
たとえ手取り収入が同じ場合でも、基本給が高い人と低い人では、制度次第で将来得られる収入の額に大きく響いてきます。こうしてみると、基本給の重要性がわかってきますよね。