老後

住宅ローンに消えた退職金、老後は貯蓄1000万で足りる?

FPの家計相談シリーズ

定年後、赤字に転落する大きな要因のひとつが「特別支出」

ただ、気になるのが、現在、毎月26万円程度の収入があるようですが、月々の貯蓄ができていないことです。

毎月の生活費は問題ないかもしれませんが、ご相談者さんが気にされているように、今後、家具・家電の買い替え費用や家の修繕費用など、定年後も何かと「特別支出」が発生します。

特別支出の例としては、「家具・家電の買い替え」「固定資産税」「「住民税」「自動車税」「家のリフォーム代」「レジャー費」「冠婚葬祭費」「子供の結婚資金の援助」「孫への援助費用」などがあります。

税金や冠婚葬祭費など、毎月ではないけれど、1年のどこかで必ず発生するお金もあれば、住まいのリフォーム費など将来的に必ず発生してくるお金もあります。また、子供を持つご家庭なら、お子さんが結婚するときに結婚資金の援助をしたり、孫が誕生した場合には、孫への資金援助をしたりする場合などもあるでしょう。

各家庭により必要な金額は違いますが、一般的な金額の目安としては、家のリフォーム代や修繕費が200万円、子供への結婚資金の援助は子供1人につき100万円、孫への資金援助は孫1人につき50万円程度です。もし、車を買い替えるという場合、1回100万円~150万円程度見積もっておいた方が良いでしょう。

定年後の家計が赤字に転落する大きな要因は、特別支出です。特別支出に要するお金をあいまいにせずに、いつの時点でいくら必要なのかしっかりと「見える化」しておくことが大切です。特別支出だけでも、あっという間に1000万円程度は飛んでいってしまうこともあるので、優先順位をつけて、何に備えていくのかを明確にしておきましょう。

長生き時代は、医療費、介護費用も備えたい

また、最近「人生100年時代」というワードがすっかり定着している通り、今後ますます長生きの傾向にあります。そうなってくると、気になるのが医療費や介護費用です。

もちろん、人によって必要な金額は違ってくると思いますが、一般的にどれくらいの金額が必要なのかを見て見ましょう。

まず、医療費ですが、厚生労働省の統計によると、60歳~89歳までの医療費の自己負担額(保険料を含む)は2014年度実績で、平均115万円とのこと。万が一、がんなどの高額療養費制度を利用した場合についても70歳以上なら自己負担の限度額の上限は、月額5万7600円、仮に1年間入院したとしても自己負担額の合計は約69万円。先の115万円と合わせると約184万円です。

一方、介護にかかる費用ですが、生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査(2018年)」によると、介護期間は平均4年7ヵ月、介護にかかった費用の平均は月額7万6000円。手すりの設置や車椅子を用意するなどの一時的な費用は69万円となっており、毎月の費用と合わせると、約487万円。ざっくりと500万円は必要になるということです。

医療費、介護費用を合わせると、約700万円は必要ということに。余裕を持たせるとすると、750万円~800万円は準備しておきたいところです。夫婦の場合は、この金額の2倍、つまり1500万円~1600万円が準備しておきたい金額ということになります。

特別支出や医療費、介護費用なども考えると、1000万円の貯蓄では心もとないですね。やはり、2000万円程度の貯蓄があると安心でしょう。

家計改善をしつつ、投資や働き続けるという選択も

とはいえ、現在の貯蓄は1000万円ということですから、まずは家計の見直しをして、毎月貯蓄できる家計に改善していきましょう。

相談者さんの家計の詳細な状況がわからないのであくまでも想像ですが、食費や通信費、保険料などの項目が改善の余地がありそうです。一度、何にお金を使っているのか、全体的に洗い出してみましょう。

また、年金をもらえるようになってからも、アルバイトを長く続くけたり、収入の一部をつみたてNISAなどを活用してお金を増やしたりすることも考えたいですね。

さらに、夫婦のどちらかが亡くなって「おひとりさま」になったときのことも考えておきましょう。1人分の生活費のやりくりの仕方やお葬式代の確保の方法などについて考えておくなど、事前に準備しておくことが大切です。

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのFPが答える「みんなの家計相談」の過去の記事一覧はこちらから。

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