はじめに
残った株も一生安泰ではない
ここで注意しておくべきなのは、判断の基準については少なくとも一貫性を持たせるべきであるということです。塩漬け株を作ってしまう典型的な投資行動は、判断基準をコロコロと変えて、保有する理由をでっち上げてしまうことにあります。
たとえば、株価チャートの形状からして「2日で3%くらいの利益なる」という予想が外れて含み損になった際に、「予想が外れたとはいえ、長期的には有望な銘柄だから、いつかは戻るだろう」と、別の基準から保有する理由を作り上げてしまうという投資行動があります。
保有する正当な理由を同じ基準を使って見極めることが、塩漬け株を早期に片づけるうえで最も重要なステップとなります。
常に状況が変化する株はナマモノに近い性質をもっているため、処分を免れた株についても、塩漬け株や隠れ塩漬け株になる危険と常に隣り合わせになっています。そうならないためには、その株を「いつまで持つか」という期間を設定しましょう。
投資で最も難しいのは、売るタイミングかもしれません。身の回りでは、購入する時の情報は豊富ですが、その売り時までケアしてくれる情報は多くありません。しかし、売り時は「保有する理由がなくなった時」であるということを常に心にとどめておけば、問題はないでしょう。
今は塩漬け株の片づけ時?
今の時期は「夏枯れ相場」の真っ直中にあるともいわれ、一般的に市場の流動性が低い時期となります。流動性の低い時期における株価の急落や急騰は、一部の市場参加者の都合で動いてしまうこともあり、注意が必要です。
通常であれば、この時期は取引を控えるべきという見解もありますが、これはポジションが非常に大きい投資家に向けられたもの。それほど高額でないポジションであれば、現在の流動性でも難なく売り抜けることはできるでしょう。
足元では、アメリカと中国の貿易摩擦を背景とした経済停滞懸念による株価の下落が発生していますが、夏枯れ相場中の出来事であることを念頭に置き、少し様子を見ながら片づけ時を見極めておくとよいかもしれません。
今年のお盆休みは実家の片づけだけでなく、金融資産のポートフォリオの片づけについても検討してみてはいかがでしょうか。
<文:Finatextグループ 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 古田拓也>