子育て

母親を孤立させないために、児童虐待の事件から考えたい事

母親を見守る視点こそ必要

児童相談所は深刻な人手不足

厚生労働省「子ども虐待対応の手引き」では、家族・親族の相談・通告については「虐待を行っている保護者への恐れからの躊躇や、家族間の軋轢による中傷等が含まれることもあるので、通告の真意を十分理解して状況を把握する必要がある」とされています。悪意のある中傷などが含まれることがあり、慎重に対応すべきであることが明記されているのです。

いっぽうで、地域・近隣住民をはじめとした、その他の通告者については、そうした文言は見受けられません。しかし、生活音をめぐるご近所トラブルは、特に幼い子どものいる家庭にはつきものなのではないでしょうか。

いまの日本は子どもを連れて公共の交通機関を使うことがためらわれたり、保育園の建設をめぐって反対が起きたりといったことが、たびたび話題になるようなご時世です。恣意的な虚偽や悪意の通告者がいないとは限りません。

悲惨な虐待死事件が報じられるたびに「児童相談所はなにをやっているのだ」と怒りの声が聞かれます。しかし、いまは全国的に児童相談所の人員が不足しているといわれています。そんななか、万一にでも、虚偽の通告により児童相談所の職員が本来不要な訪問や調査などに手間を取られ、危険度や緊急性の高い事案に手がまわらないといった事態を招くのは防がなければなりません。

虐待防止と子育て支援はセットでなされるべき

悲惨な虐待の報道が相次ぎ、虐待防止への機運が高まりを見せるなか、厳しい「監視」の目は強まっていっています。2020年4月には、体罰の禁止や児童相談所の介入の強化などを盛り込んだ改正虐待防止法が施行されます。

しかし、大切なのは、多くの親たちは悩みながらも、日々懸命に子育てを行なっているということです。監視の目が強まる一方で、いま子育て中の親への温かく優しい「見守る」目線が足りていないように感じます。

子育てで悩みやつらいことがあったとしても「それを話すと、ますます虐待を疑われるのでは」と隠さねばならないと思う母親もいます。

実際に厚生労働省「子ども虐待対応の手引き」には“一般的「相談」などの中”、たとえば、“「たびたび嘘をつく」「おもらしをする」「夜遅くまで帰らない」「親の言うことを聞かない」など、子どもの行動や性格、育児などの相談、非行の通告などの場合でも、虐待の潜在に留意しなければならない”と明記されています。

誰にも相談できず、母親がひとりで抱え込んでしまい、孤立していく―。それこそ虐待やあらゆる暴力の温床になりかねないのではないでしょうか。

虐待の報道が相次ぐなか「自分の子育てに自信がなくなってきた」「躾と虐待の境界がわからない」「自分の子育ても虐待に当たるのだろうか」という相談が急増しています。多くの親たちは、このように不安を抱えながらも、懸命に子どもと向き合っているのです。

虐待に至ってしまう前に、そんな親たちに寄り添い、子育てのつらさを緩和すること。虐待が起きてしまってからの対策はもちろんですが、それ以前のところで踏み止まりながら懸命に子育てをしている多くの親たちへ支援やケアがより必要です。

虐待防止と子育て支援はセットでなされるべきであり、親の笑顔が子どもの健やかな成長に繋がるのではないでしょうか。

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