はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナー(FP)が答えるFPの相談シリーズ。今回はプロのFPとして活躍する大竹のり子氏がお答えします。
夫婦ともに30代後半、仕事の都合で現在は別居しています。50代の早いうちにアーリーリタイアを考えています。アーリーリタイアの実現可能性や、今後の方針に関してアドバイスをいただけますでしょうか。
【世帯構成】夫婦、子無し(今後も子無しで合意しています)
【世帯年収・税引き前】1,100万円
【生活費・夫婦合計】30~35万円/月(家賃含む)
【資産状況】約5,000万円(現金20%、個別株+投信15%、国内債券25%、海外債券25%、ソーシャルレンディング15% 直近1年間の運用実績、年3%程度。今後、現金から個別株+投信にリバランス予定)
【負債】なし
【住居】当分の間、2人とも賃貸で別居。リタイア後は賃貸から相続予定の一戸建てへ引越する計画
【相続予定の資産】住居(地方都市郊外、50坪、評価額1,500万円程度)、土地(地方都市中心、160坪、路線価5,000万円程度)
アーリーリタイアまでに1億円程度の資産を貯め、その後は資産運用と資産の取り崩し、及び相続予定の土地(現在は駐車場管理会社に一括貸与中)からの収入で生活できればと思っています。贅沢な趣味は夫婦そろって持っておらず、せいぜい温泉巡りと国内旅行です。アーリーリタイア後は各地の温泉を気ままに巡ったり、図書館通いをしたりする生活を夢見ているところです。診断、アドバイスをよろしくお願いいたします。
(30代後半 既婚・子供なし 男性)
大竹: 贅沢な趣味は持っていらっしゃらないということですが、現在、毎月いくら貯蓄できているでしょうか?
正確なところがわかりませんが、概算で手取り収入を税引前の1,100万円の80%とすると、手取り年収880万円。ボーナスなしと仮定すると、月収ベースでは73万円となります。
生活費は毎月30~35万円ということですので、おおよそ40万円が貯蓄に回せている計算になります。
アーリーリタイアまで、あと15年とすると、さらに7,200万円が貯蓄できる見込みですので、現在の資産と合わせると、それだけで1億2,200万円、ゆうに1億円超になります。
アーリーリタイア後の生活費
また、アーリーリタイア後の生活費に関してですが、こちらもいつまで賃貸なのか、家賃はいくらなのか、いつから相続した一戸建てに住むことになるのかといった詳細がいただいた内容からはわからないですが、仮に最初の15年間が賃貸(別居から同居になるため生活費は30万円にダウンと仮定)、その後90歳超まで25年間の生活費が毎月25万円とすると、5,400万円+7,500万円で1億2,900万円となります。
概算上は数百万円足りないということになりますが、65歳を超えれば国民年金や厚生年金(現在会社員であれば)も受給できますので、大きな不足はなさそうと推察します。
したがって、金融商品での資産運用と土地を活用した賃貸収入については、アグレッシブな姿勢で臨むというよりは、温泉巡りや国内旅行に心置きなく行けるだけのゆとりを生み出すということが主な目的になるでしょう。
今後、現金から個別株+投信にリバランス予定とありますが、現金からまとめてシフトさせる、個別株のウェイトを増やすというよりも、アーリーリタイアまでの間の毎月の貯蓄40万円(概算)のうち、半分程度をコンスタントに投資信託の積立に回すなど、リスクを抑えながら手堅く運用することに意識を傾けたいところです。