はじめに

都会よりも田舎が高給

2011年の厚労省調査によると、2年目研修医の平均給与は481万円(最小184万~最大1026万円)でしたので、塩野先生は平均よりも安めです。もっとも、医者の給与は「大学病院<一般病院」「都会<田舎」という傾向があります。不人気な地方の中小病院ほど高給で医者を集めるのです。

逆に、A医大のような東京の大病院は人気が高く、給料安めでも若手医師が集まります。「東京>地方」「大企業>中小企業」の一般社会とは真逆になります。

東京の病院は若手医師に人気が高く、中でも「虎の門病院」「聖路加国際病院」のような都心部ブランド病院が大人気です。大学病院では、「東京医科歯科大学(2020年度内定者119名)」「東大(99名)」が二大人気校で、「秋田大(4名)」「島根大(5名)」のような地方医大は人気低迷中です。「研修環境がホワイト」と評判のA医大には毎年約50名が就職するそうですが、母校B医大は約10名と医師不足が進行中です。

婚活パーティで15,000円ゲット

塩野先生は11-12月の2カ月間、佐藤教授のいる外科で研修しています。外科の医局員は7時頃から病棟で回診や処置に追われていますが、研修医は自由参加なので塩野先生を含む多くの研修医は来ません。8時半からのカンファレンス出席は、研修医含めて全員出席です。話が高度すぎてチンプンカンプンなので居眠りする研修医が目立ちますが、叱られることはありません。

9時頃から手術が始まり、研修医は第二助手などを割り当てられますが、立ち仕事の苦手な塩野先生は「膝が悪い」と主張して、短時間手術を選んでいます。手術中、佐藤教授に「キミ、手術に興味ある?」「今度、焼き肉どう?」などと訊かれましたが、面倒くさかったので「精神科志望です」と答えたら、それ以降は誘いが無くなりました。

14時頃に塩野先生の手術が終わったので、遅い昼食の後は、研修医室で同期とおしゃべりしたり、SNSで他病院の研修医と情報交換しました。そろそろ3年目以降の進路を決める時期なので、ブラック職場を回避すべくネットを活用しています。

そのあと病棟で点滴処置やカルテ書きをしていると、先輩たちがバタバタしています。18時頃から腸閉塞の緊急手術があるそうで「腸閉塞のオペ入る?」と訊かれたけれど、「腸閉塞なら先週診たのでいいです」と断って終業しました。

同期から「婚活パーティー行こうよ、医者は交通費15,000円バックだって」と誘われて参加したものの、口下手な塩野先生は会話が弾みませんでした。同期は女性と消えましたが、塩野先生はラーメン店に寄って帰宅しました。

先輩たちは23時ごろまで残業していたそうで、外科医局は「セブンイレブン」と研修医に揶揄され敬遠されています。かつては花形医局だったA医大の外科は新人ゼロが2年続いており、眼科・皮膚科・精神科は毎年5~10名が就職する人気医局だそうです。