はじめに
それでも子供はかわいい
当連載はお金にまつわるテーマを取り扱っています。自分は身勝手で堕落した人間のため、もうあまり働きたくない。さっさと仕事をやめるにはどうするかといえば、出費を抑える、という話になります。そのためにも子供を作らないという選択をしました。ベビー服に始まり、学校の費用、「○○君だって持ってるんだよ!」と何かをねだられる。ありとあらゆる面で人を育てることにはお金がかかります。そのカネを稼ぐのがキツくなってきたんです。もう働きたくない。えぇ、甘っちょろい未熟な考えであることは理解しております。
子供を持つことにより人生が豊かになる、と多くの人は言います。間違いなくそうでしょう。お金はかかるものの、それ以上の幸せと充実感を子供はもたらしてくれる。ただ、こうして「子供はいらない」と宣言する人間に対してバッシングをする意味が分かりません。
1945年生まれの私の父親は5人きょうだいの3男です。当時は5人の子を育てることはそれほど珍しいことではなかったことでしょう。1970年代以降はひとりっこも増え、3人の子がいると「多いね」と言われる時代になりました。
そんな今、本当は2人子供が欲しいけど経済的に苦しいから1人で我慢をする、と語る人もいます。「1or2」で「1」を選ぶと「分かるよ、うんうん。あなたはよく頑張っているよ」と言われるのに、「0or1」で「0」を選ぶと途端に人でなしかつ未熟扱いです。
この原稿は、子供を育てたいと考える人、子供を育てて充実している人に向けて書いていません。子供がいらないと考える人に向けて書いています。
友人の子供に触れると確かにかわいいと思います。一緒に金沢旅行へ行った友人のホテルの部屋に行ったら3歳のお子さんがベッドの上で元気に跳ねて、「うんこおじさん!」と私のことをニコニコしながら呼んでくれた時は心底かわいいと思いました。
また、この前ベトナムに行った時に買った円錐型の頭にかぶる傘がことのほか暑さ対策として有効であることが分かりました。同時に、小さい子供がこれをかぶった姿はかわいいだろうな、と思いました。日本に持って帰りましたが、この傘を3歳のお子さんがいる別の友人に渡しました。
「ベトナムの傘買ったんですけど、Yさん、今度渡してもいいですか?」
「えっ?」
「いや、お子さんに似合うんじゃないかと思いまして」
「実はオレもそう思ったんですよ。その傘をかぶった写真を撮ったらかわいいだろうな、と思いまして」
「じゃあ、次回お会いする時持ってきますよ」
こうして彼に傘を渡しましたが、すぐに彼からお子さんが傘を頭に乗っけた写真が送られてきました。本当にかわいかったし、彼は「親バカではないですが、似合っていると思います」と書いていました。本当は「マジでかわいいです!」と書きたかったのでしょう。それだけこの傘をかぶったその子はかわいかったのです。