はじめに
キャンペーン効果で客単価押し上げ
それでは、キャッシュレスがコンビニの売り上げに影響をもたらしたのでしょうか。ここで注目すべきは、コンビニの客単価です。
下図を見ると、2018年10月のたばこ増税に伴う2018年9月の買いだめ需要と、その1年後に当たる2019年9月の反動減を除けば、2018年11月から2019年9月まで既存店の客単価はすべて前年同月を上回っています。中でも2018年12月、2019年4月、8月で2%を超える大幅な増加が見られます。
2018年12月は、PayPayの「100億円あげちゃうキャンペーン」による20%還元の影響でしょう。2019年8月は、月末に台風が相次いだことで買いだめなどが発生したことによる全体的な増加や、メルペイの70%還元が寄与したと考えられます。
企業別で見ると、特徴的なのがローソンです。同社は、2018年10月から2019年4月にかけて、3社の中で最も大きい増加幅をみせています。下表からも読み取れる通り、ローソンは3社の中では最もバーコード決済の対応範囲が広く、キャッシュレス推進に積極的である様子がうかがえます。
キャッシュレスの使用頻度が高い消費者は、還元率が高いサービスを優先して使いたいため、キャンペーンの実施状況に応じてサービスを使い分ける傾向があると考えられます。その際、取り扱いサービスのバリエーションが多い店舗のほうが足を運ぶ可能性が高くなるというわけです。
そうすると、キャッシュレス決済に幅広く対応しているローソンが優勢に思われますが、実際の業績への効果はどれほどのものだったのでしょうか。