はじめに
「貯まるから増やすへ」。投資に挑戦したいが、何から手を付けてよいのかわからないという初心者から、腕に自信がある中上級者までを対象に、わかりやすく投資を語り合う連載「みんなの投資広場」。 前回に引き続き、デイトレードから投資を始め、10数年で利益35億円を稼ぎ出した、テスタ氏に話を聞きました。
株価の動きの読み方
――利益35億円のテスタさんから見て、株で成功する人、しない人の違いはどこにあると思いますか?
デイトレに限りませんが、マーケットを俯瞰的に見てトレードしているかどうかだと思います。株価は自分の意思ではなく投資家の多数決で決まります。
自分の考えがいくら正しくても、ほかの投資家たちが間違えれば、その株価は自分の思いとは違う方向に行く。つまり下がるわけです。自分が何かの理論にあてはめて、この銘柄はすごく割安だと思っても、ほかの投資家が割高だと思えば、株価はどんどん下がっていきます。
だから取引では自分の考えにプラスして、他人の考えを読まなくてなりませんが、多くの投資家は自分の考えを基準にして高いか安いかを決めています。
そもそも自分が「上がる」と読んで株を買うときは誰かが「下がる」と見て売っているから取引が成立する。その後、株は上がるか下がるしかない。ですから、どちらかが正しくて、どちらかが間違っているわけですね。
上がると予想した株が下がり続けたら、ほかの投資家たちはどう思っているのだろうか、自分が気づいていない理由があるはずだという視点をもって行動することが大事です。
――確かに上昇が期待できそうなのに、伸び悩んだり、下がったり値動きを読むのが難しい銘柄はありますね。テスタさんは株価の動きをどのように読み取っているのですか?
たとえば、1,000円の株が1,100円に上昇したとき大口の機関投資家がどんと買ったのか、小口で個人投資家たちが買ったのかでは意味合いが違ってきます。1人の大口が買って1,100円になったのなら、まだその銘柄を買えていない個人がたくさんいるので、株価はさらに上がると考えられます。
一方で1人の大口が売らなければ株価は1,100円から1,000円には戻らないし、大勢の個人が買った場合は全員が売らないとそうはなりません。
あるAさんが50万株を買って1,200円になったとします。その後、誰かが5万株ずつ売りを出しているなと思えば(大口のAさんが売っていると推定できるので)、Aさんが保有株を売り切るまで株価は下がり続けることになります。こうした投資家の意識や行動を読むようにしています。
――なるほど。誰が何を考えて、どんな理由で売り買いしているか読み取るようにすれば、その後の株価も想定できますね。デイトレも中長期投資もその考え方は同じですか?
デイトレはその日の値動きだけしか読みませんが、中長期投資の場合はその銘柄の数カ月先の状況や投資家がどのように考えているかを読んで取引するイメージですね。