はじめに

コマツの株価に見る「投資タイミング」の鉄則

このように決算自体は芳しくありませんが、株価はどのように推移しているのでしょうか。

コマツ株価

通常、企業の業績と株価は連動しますので、業績が悪いということは株価が下落していることが予想されます。しかし、実際にコマツの株価チャートを確認すると、夏場にかけて大きく下落していたのですが、足元は大きく上昇しています。

どういうことかというと、コマツの業績が良くないことは世界の景気状況から見て、ある程度わかっていたので、投資家は先んじて株を売っていたのです。しかしフタを開けてみると、確かに悪いものの、想定内の悪さに収まったので、売られ過ぎていた株が買い戻された、ということになります。

このように株式投資の世界では、常に「今」ではなく「未来」の予想が株価に織り込まれていきます。

新聞報道などでは多くの場合、景気や業績の「今」がフォーカスされるため、たとえば「コマツの業績はこんなに悪い」というような見出しになります。そうした報道の後、逆に株価が上がっていく場合があるのは、マーケットが未来を織り込みに行っている結果なのです。

この辺りが株式投資の非常に難しい点です。「今」だけでなく、「未来」にフォーカスするクセをつけると、投資先や売買タイミングを決める際のヒントになるかもしれません。

<文:マーケット・アナリスト 益嶋裕>

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