はじめに
子どものお金は“子どもも”負担するように
ところで、これだけの赤字家計の中、来年から次男さんの奨学金を相談者さんが返済する予定とのこと。
240万円の貸与を受けているので、利率にもよりますが、秋からの返還額は月に1万4000円程になるでしょう。「たいしたことのない金額」と受け取っていらっしゃるかもしれませんが、これが15年ほど続きます。相談者さんご夫婦が67~69歳まで返済が続くということです。年金生活に入っても固定費の支出が続くのは、きっと大変だと思います。
今は「仕送りがなくなるから大丈夫」と思えるかもしれませんが、そもそもが赤字の家計。仕送りがなくなってわずかに貯金ができるはずだったのに、それもできなくなってしまうかもしれません。
貯金ゼロの状態から脱却し老後資金を作るには、少しでも支出を抑え、蓄えていくべきです。ただ、次男さんに急に「自分で返済して」と言っても、長男さんは奨学金を使っていないように思いますので、「自分だけ借金を背負うなんて」と次男さんは思うかもしれません。そうであれば、返済の半分を長男さんに手伝ってもらうことを考えてもよいと思います。長男で教育資金をおおむね使ってしまい、やむを得ず奨学金を利用したということになるでしょうから、不公平感がないように、平等にするとよいのではないかと思いますよ。
長男さんも急に言われると戸惑うでしょうから、年末年始で家族が集まるときなどに、みんなで話題にしてみるとよいのではないでしょうか。押し付けるのではなく、理解をしてもらえれば良いのだと思います。奨学金のことに加え、ご夫婦の老後資金のことも伝えるとよいと思います。
“老後は子どもに面倒を見てもらえばいい”と考える人もいますが、それは子どもにとって大迷惑です。そういったことも踏まえ、ご夫婦の老後が安定するように、お金を準備する策を家族みんなで話し合ってもよいと思います。
“貯蓄ゼロ”は投資をする資格ナシ?
また、老後資金作りの方法の一つに「運用もしたい」ということが上がっていました。将来を見据え、投資を始めることは非常に良いことだと思います。ですが、相談者さんはまだそうしてよい段階にはありません。なぜなら、生活を維持し、守るための蓄えがないからです。
ですが、老後までも時間がないことも事実。ならば、支出を削減してしっかりと余剰金を作り、貯金と投資を両方する、並走という方法をとることがよいように思います。ただ、これをするには安定して余剰金を出せていないと上手くいきません。つまり、はじめにお伝えした支出削減ができて、家計が安定してから始めるとよいでしょう。
老後資金作りによい投資制度を国が出しています。それを活用するには、しっかりとした余剰金が必要です。家計費が足りなくなり、下ろせるお金は下して家計を回していこうということでは投資は続きません。そういうことをしっかり考えていきましょう。
相談者さんご夫婦の、今のお金の状況は決して良いとは言えません。ただ、改善の余地はまだあります。今から懸命に取り組んでも、老後も長く働きましょう、ということになるかもしれませんが、収入があるうちはしっかり貯め、お子さんに迷惑をかけることがない老後を送ることができるように準備していってください。
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