はじめに

2019年11月17日、お金に関連したあらゆることが学べる、年に1度のイベント「お金のEXPO2019」が開催されました。今後のマーケット見通しや、資産形成のノウハウ、不動産投資など盛りだくさんの内容となりました。

その中から、マネックス証券主催、エグゼトラスト 川田 重信氏による「新たな投資のスタンダード、米国株投資で資産形成への道を切り開く!」の講演内容をお届けします。

社会の仕組みとS&P500の関係

この中でアメリカへ留学や、大学生のときに交換留学で行った人がおそらくいらっしゃると思います。

できの悪い人は、下から切られる。社会全体がそうなんです。自助努力、才能がある人、自分で道を切り開いた人だけが残れる。そういう国です。

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例えばアメリカのS&P500は、500銘柄ありますが、年間20数銘柄、できの悪いものは下からどんどん切り落としていく。次に有望なものをどんどん入れていく。

日本人のメンタリティーでなかなかできない。昨日まで一緒の組織で頑張っていたけど、「君は100番中下から5番目だから、どこか次の別のところに行って頑張ってください」と。

逆に「部長、年率7%で自分の業績をあげることができなくなったらしいですね。私は今15%で伸びることができるから、私こそがこの組織、市場に必要なんです。私こそがこの国に必要なんです」といった感じに。

おととい、私の元部下で、今はある中堅の証券会社の社長が来て、彼は私と一緒に米国株をやっていましたが、いままで自分の会社のメニューとして米国株は品揃えしなかった。ついに、いよいよ始めると言っていました。

それはなぜかというと、日本株では経営が難しい。投資信託でも、手数料の高い投信や回転商いなどと、随分批判されています。そういう状況下で、米国株をやっと導入した。

しかし彼は、嫌々やっている。話を聞くとこういうことらしいです。「僕も川田さんも一緒にニューヨークで駐在していましたよね。あのときは良かったかもしれないけど、今のアメリカを見てください。随分傲慢(ごうまん)で貧富の格差が拡大して、希望がないじゃないですか」と。全く違っています。

先ほどから言っているように、あの国は強い者が残る、努力した者が残るという社会の仕組みが、たまたま今形を変えて、貧富の格差に出ているだけです。そういうことを、だからダメとか、いいとか、そういう議論は成り立たない。

お隣の中国や、ヨーロッパ、アジアはどうなのか。全員救いたいと思っていて、そのとおりにできるほど余裕がある国は、北欧の一部にそういう国があるかもしれない。でも、それは300万人、500万人の国です。

およそ1億人超えた国で、みんな全員救える体制を持っている国はないのではないか。人類はまだその解決策を持っていないんです。

そこからすると、アメリカの適者生存と仕組みは、特殊かどうかは分からないけども、非常に厳しい反面、マーケットに規律が保たれるということです。

投資インフラはもうできている

過去の米国株式市場は、5年に1回ほど下がっています。遠くは73年のオイルショック。それから81年、そのあと新自由主義といって、レーガン、サッチャー、鄧小平が出てきて自由主義社会がずっと続いているわけです。東西冷戦の終了が89年11月ですが、90年は若干リセッションに陥りました。

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ITバブルが始まるのが95年で、年率2割ほどのスピードで株価が上がっていく。ITバブルは2000年にピークを打ちます。そして2000年から3年連続でマイナス。この3年連続マイナスというのは非常に珍しいです。オイルショックの時の2年連続も珍しいですが。

さて、これだけ米国株に対して認知度が広まった。投資インフラはもうできています。もちろん、アメリカのチャールズ・シュワブ、Eトレードの手数料はゼロ。日経ヴェリタスでも報じていますが、アメリカで手数料がゼロになっていると。

手数料が0ドル、1ドル、たとえ5ドルだとしても、実はそんなに関係ないです。投資インフラはもうできています。今度は税制。ここもNISAや、iDeCoがあるとなると、ある程度は整ってきます。そういう意味では、米国株を買わない理由がなくなっている。

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「たられば計算」でいくと、60年相場をやった人は米国株の場合、S&P500を買っていると312倍になっている。

今80歳ほどの人ならそういう経験があることになります。私がこのマーケットに入って40年ぐらいたちます。もし米国株を買っていれば、75倍になっていた。日本株だと3.7倍。

ところで、私も証券会社に入って最初は支店で営業をやっていました。そのときは、株は買ったら上がるものだと少し思っていました。今となったらはっきり言い切れますが、あれは株だけが上がったのではなく、給料や地価も上がった、サービス価格も上がったんです。

最も大事なのは、アメリカと日本の最大の違いは、日本の場合はそれらが、みんな一緒ぐらい上がるということです。