はじめに

投資の目的は何か?

簡単にメリットとデメリットをあげましたが、大事なのは投資の目的です。数年のうちに資産を増やすことが目的であれば、株式投資の方が可能性は高くなると思います。しかし、投資の世界に限らず、この世の中はローリスク・ローリターン、ハイリスク・ハイリターンが常です。投資の目的が将来に備えるためのもの、たとえば子どもの学費や住宅・車の購入費用、老後資産であれば、やはり手軽に分散投資が可能な投資信託の方がよいでしょう。

先日、「株式投資と投資信託のどっちがいいのか」という質問をされたときに、このような話をしました。

5つの銘柄があって、それぞれ1年後には-50%、-25%、+25%、+50%、+100%になるとします。株式投資の場合は、色々と分析をすることで、この5銘柄のなかから1銘柄を選びます。銘柄選択がうまくいけば+100%になるかもしれないし、失敗すれば-50%になるかもしれません。一方で投資信託で日経平均などのインデックスに投資すれば、これら5つにまとめて投資することになるので、全体の平均値が得られます。こう考えてもらったところ、自分は銘柄を選び抜く自信がないから、結果、投資信託にしようと思うとなりました。
 

金額ではなくリスク量で考える

最後に、少しだけ難しい話をします。投資をする人の多くの目的が老後資産の形成など、過度にリスクを取らずにジワジワと増やしていきたいケースが多いので、分散投資が重要だよと伝えるようにしていますが、あまり複雑な事はわからないし、やりたくもないので、株式と債券を半分ずつ投資するように投資信託を購入します、という人もいます。

しかし、それはあくまで金額ベースで半々に分散しているだけだよ、と話しています。一般的に株式は債券よりも想定されるリスク、リターンともに大きいとされています。

ですから、仮に金額ベースで株式と債券に半分ずつ投資をしたとしても、そのポートフォリオでは株式のリスクが多めになってしまっています。そこで、金額で比率を考えるのではなく、リスク量で比率を考える方が重要なのです。

つまり、金額的には債券の比率が多かったとしても、リスク量でみたときに株式と債券で取っているリスクが半分になるように投資をすると、よりリスクを抑えることができます。

2019年の株式市場は非常に好調でしたが、かたや消費増税後の経済指標は軒並み悪化しています。不況下での株高ということもあるかもしれませんが、2020年はリスクのコントロールにも意識を向けた方がよいでしょう。投資に「正解」はありませんが、筆者は2020年のテーマにリスクコントロールを掲げたいと思います。

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