はじめに

日本株と同じ目線で判断すべきではない

――史上最高値を更新し続ける米国株は、バブルではないかという指摘もあります。

これは個人投資家の皆さんから非常によく受ける指摘です。なにしろ日本の個人投資家は、上がり続ける市場に対する警戒心が非常に強い。これには理由があります。

周知の通り、日本の株式市場はバブル経済時の高値を回復しておらず、30年間持ちっぱなしの長期投資では報われていない市場です。一方で株価の変動幅は非常に大きいので、「下がったら買って、上がったら売る」をうまく繰り返していれば儲かる市場でした。

こうした自国の株式市場を身近に見ている日本の投資家には、「上がった時に売らなければ儲からない」というマインドが染みついてしまっています。ですから、上昇を続ける米国株の値動きを見て、怖く感じてしまうのです。

米国株市場も過去にはITバブル崩壊やリーマンショックなどの暴落に見舞われてきましたが、すべて数年で回復し、長期チャートは右肩上がりです。実際、1990年からの約30年で、相場の割安・割高を示すPER(株価収益率)の平均は、S&P500で約18倍です。一方で足元のPERは約20倍と、決して割安ではないものの、この程度で割高とはいえません。

2020年の予想1株当たり利益(EPS)で計算すれば、PERは18倍まで下がり、平均的な水準に戻ります。この程度でバブルと騒ぐのは、おかしなことです。日本株と同じ目線で米国株を判断してしまうと投資ができないことは、知っていただきたいと思います。

「トランプ・ツイート」も“最高値”を更新

――2020年の米国株では、どういった銘柄やセクターに注目しますか。

2019年は大型の成長銘柄が相場をけん引した1年でしたが、2020年も引き続きこの傾向が続くとみています。具体的にはアルファベット(グーグル)、アップル、フェイスブック、アマゾンといった、いわゆる「GAFA」の成長に素直に便乗する姿勢で良いと思います。

これらの銘柄はさすがに現在の水準からテンバガー(株価10倍)を狙えるようなものではありませんが、5年後も市場で存在感を発揮し続けられるかという観点で考えれば、やはり安心感があります。

個人投資家は大化けを狙える小型株を発掘したいと考える人が多いですが、ポートフォリオの柱に据えるのはやはり大型の成長株か、あるいはS&P500などの指数がふさわしいと思います。

――堅調な相場が続くとの予想ですが、リスクについてはどのようなものを警戒しておくべきでしょうか。

2016年にトランプ氏が大統領選に勝利してから、相場はずっと彼の言動に振り回されてきました。公式な場での発言ならある程度警戒ができますが、彼の場合はツイッターで突然発言するので、誰にも予想ができません。

特に2019年は株価だけでなく、トランプ大統領のツイート数も“史上最高値”を更新した年になりました。2019年9月にこれまでの月間ツイート数の最高記録をたたき出し、12月12日には1日のツイートが115件と、デイリーベースでも最高を記録しています。

2020年は大統領選の年であることから、ツイート数はさらに増えることも考えられます。加えて、選挙情勢や他の候補者の動向・発言といったヘッドラインに相場が大きく振らされることが考えられます。

長い目では緩やかな右肩上がりと予想していますが、途中経過には大きな調整があってもおかしくありません。10%程度の下落局面は、あり得ると考えています。

また、米中貿易協議の動きも、短期的には相場を大きく揺さぶる波乱要因となります。緊張は緩和に向かってはいるものの、まだ予断を許さず、さらなる長期化も予想されるからです。とはいえ、こうした局面で株式市場が大きく下落することがあれば、むしろ絶好の買い場となるのではないでしょうか。