はじめに

投資、はじめの一歩は何から?

これまで投資をしたことがなく、何から始めていいのかわからないという不安はあるでしょう。誰しも最初は怖いという気持ちがあるものです。ですから、最初は、会社の「確定拠出年金」の見直しから始めてみましょう。

定期を選んだまま放置ということですが、送られてくる報告書、もしくはネットでログインして見ることができる場合にはネットの取引明細で、「手数料」というものに着目してみましょう。

例えば、1万円を毎月掛金として拠出していたとしても、その1万円が全額年金として積み立てられているわけではありません。金融機関や運営管理機関に支払う手数料などが引かれた金額が積み立てられています。企業型確定拠出年金の場合は、会社がその手数料を負担していますが、個人型の場合はご自分で負担しています。ですから、まずはこれを意識して、手数料が取られているのであれば、手数料以上の収益を上げることを目標としてはいかがでしょう。

また確定拠出年金で定期預金を選ぶと、掛け金が全額所得控除、受け取り時の税制優遇といった恩恵は受けられるものの、運用益が非課税になるというメリットは活かしきれていない状態です。

“私的年金づくり”で老後に備える

2020年度の税制改正大綱で、確定拠出年金をさらに活用できるようになる改正が決定されました。企業型確定拠出年金は70歳まで、個人型は65歳まで、掛金拠出が可能になる予定です。また、すでに企業型に加入している場合は、個人型と併用しやすくなります。

相談者ご夫婦の場合、70歳になるまでにまだ約20年ありますから、月々拠出できる確定拠出年金は老後資金としては最適です。確定拠出年金専用の金融商品であれば、必ずリスクに応じた商品説明があったのではないでしょうか。最初に加入した時の資料を引っ張り出して、自分がどこまでであればリスクを取れるのか、一度ご夫婦で話し合ってみてはいかがでしょうか。

できればご夫婦とも同じ商品を買うのではなく、それぞれ「国内債券と外国株式」「国内株式と外国債券」など異なる分野に投資する商品を組み合わせれば、リスク分散にもなります。「外国に投資なんてとんでもない!」と思われるかもしれませんが、日本の定期預金だけでは、資産はほとんど増えませんし、将来のインフレリスクに対処できないというのが一番の問題点です。

金融庁のホームページでは、投資の基本について説明しており、運用スタイルやシミュレーションなどができるページもあります。ぜひ、のぞいてみてください。

つみたてNISAも老後資金として検討を

NISAも老後資金としては有効な方法です。通常、金融商品に投資をすると、その利益について約20%が課税されるのですが、確定拠出年金と同じく、利益が非課税となる「つみたてNISA」も投資初心者の選択肢として考えてみましょう。

つみたてNISAの投資限度額は年40万円、非課税期間は最長20年なので投資可能額は最大800万円になります。投資可能期間は2037年まででしたが、2020年の税制改正により、5年延長されることとなり、いつ始めても20年間の非課税優遇を受けられるようになりました。「長期・積立・分散投資」に適した商品となるよう、金融庁が定めた要件を満たした投資信託のみが投資対象となります。

毎月、積み立てして投資信託を購入していくというのは、ある意味、確定拠出年金の仕組みと似ており、ご夫婦にとっても始めやすいのではないでしょうか。

図1

子育て中の今から長期積立でコツコツ

老後資金は、もはや公的年金だけでは不足し、「自分年金づくり」が欠かせないことは常識となりつつあります。投資に回せる資金を十分お持ちですので、前段でご紹介した金融庁のホームページなどで金融商品の勉強をご夫婦で始めてみてください。

今は、子どもの教育費など、他の支出も気になるかもしれませんが、まずはお子様と進路を話し合い、大学卒業までの教育資金を確保しておき、投資に回せる余裕資金を見積もるところから始めましょう。

また、家の修繕費用や車の買い替えなどの時期についても、時期をずらすことで対応していけますので、まずは時期を記入したライフプランをしっかり立ててみましょう。

「日本の将来人口推計(平成29年)」によると、、平均寿命は延伸を続けており、2065年時点で現在よりさらに4年前後伸びることが想定されています。また政府は、希望者が70歳まで働けるよう企業に継続雇用を推進する流れのようです。

今後、ご夫婦で何歳まで働くかというのもポイントとなってきますが、まずは投資を始めてみることです。老後資金は長期積立が基本ですので、子育てが終わってからゆっくり考えようということでは間に合わない可能性があります。

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