はじめに

国内だけでなく海外にも目を向けよう

日本だけでなく、海外への影響も想像してみましょう。日本が属するアジア圏は地理的に中国と近いため、他の地域に比べると大きな影響が出やすい訳ですが、前述の様に観光の観点からすると、実は香港とタイが大きな影響を受けます。

IMFのデータから、中国からの旅行サービスから受け取る金額をGDP比で算出すると、アジア圏では香港が1位、タイが2位となっています。香港はデモの件で経済がボロボロになっていて、今回の新型コロナウィルスは泣きっ面に蜂という状態で、深刻な景気後退が予想されます。

また、貿易の観点から見ると、中国・香港向けの輸出額が対GDP比で大きいのは台湾が1位、ベトナムが2位、マレーシアが3位となっています。中国や香港の経済が想像以上に弱含み、同地域への輸出量が大幅に減少すれば、台湾・ベトナム・マレーシアの経済にも大きな悪影響を生じさせます。

震源地の中国でも既にネガティブな経済指標が発表されています。中国の1月の消費者物価指数は前年比5.4%上昇。これは2011年11月以来の大幅な伸びです。中国政府が感染拡大防止のために移動制限をし、通常の春節の物価上昇圧力に加え、買いだめや輸送規制によるサプライチェーンへの影響もあって、物価が上昇しました。当然、この現象は国民の生活を苦しくさせます。

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