はじめに

バイヤーのその後は?

しかしながら、よく考えてみればおかしい話です。国からの8%の還付金をもらったとしても、バイヤーたちに6%を払った上に、航空券や宿泊代まで出したら、儲けはほとんどないはずです。しかも、買い取った時計は質店や市中時計店で販売していたということですから、定価より安く買い取られるので、求人募集した人たちに払う購入代金より、手にするお金は少なくなるはず。ほとんど儲けがでない状況の会社経営は怪し過ぎます。

現在も会社自体はありますが、事実上、取り引きを停止していて、首謀者である店長は行方をくらましているそうです。これらのことから、この業者は経営が破綻することを前提に、多くの人をバイヤーとして雇っていたと考えてよいでしょう。結果、バイヤーらは時計を会社に渡したにもかかわらず、その購入代金が振りこまれずに、借金だけが手元に残ることになっているのです。しかも恐ろしいことに、店長との連絡はLINEのみでやりとりしていたために、会社の実態は分からないということでした。しかも、バイヤーとしての仕事が終わったら、LINEのやりとりも削除するように指示されていました。この手口で、数千万円以上の被害金額になっている人もいます。被害者の年齢も幅広く、20代から、40代以上の主婦、さらに中高年のサラリーマンまでいます。

実は、こうした自らのクレジットカードを使わせて、海外で商品を買わせ、しばらくはお金をバイヤーたちに払うことで信頼を築き、その後、突然、会社が破綻した事案は過去にもありました。当時の被害者からお話を伺うと、その時に使われたのも、やはり求人広告でした。数年たって、その騙しの手口を多くの人が忘れたころに、再び、同じ手口はやってくるものなのです。 

求人募集にエントリーして、面接を受ける際に、先にお金を払う必要になる話は疑うようにしてください。そして、その行為が犯罪に加担することになるとわかった時点で、しっかりと断るようにしてください。ずるずると、先に進めば進むほど、無間地獄に陥ってしまうことになりかねません。

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