2月28日、政府がマンション管理適正化法などの改正案を閣議決定しました。老朽化が進む中で修繕積立金が不足している、あるいは、住民の高齢化が進み、理事会が機能しなくなっているなどの理由で、適切な管理が行われていない物件に対応したものです。

一方で、築30年、もしくは40年を越えるマンションでも、定期的に適切な修繕が行われ、適正に管理されることで、今も市場価値を維持している物件はたくさんあります。そんな真っ当な中古マンションで最近、ある問題が多発しています。

その問題とは、給湯管に突然「ピンホール」と呼ばれる針の穴ほどの大きさの小さな穴が開き、そこから吹き出たお湯が階下の住戸に漏水被害を与える事故です。加害者となった住戸の住民が多大な負担を余儀なくされていることは、あまり知られていません。


あなたも突然“加害者”に?

最近では、道路に埋設されている上水の水道管から直接、マンションの各住戸まで水を引き込む「直接給水方式」が増えてきました。一方で、水道管から敷地内に水を引き込み、屋上などに設置されている貯水槽に上げ、そこから各住戸に水道水を供給する「受水槽給水方式」のマンションも、数多く存在しています。

この道路下から各住戸まで水を運んでいる給水管は共用部にあたり、多くの場合、メーターボックス内を縦に通っています。各住戸内では、共用部の給水管から枝分かれさせた給水管が、トイレやバスルーム、洗面所、キッチンなど、水を使う場所に常温水を送り、最終的にはベランダなどに設置されている給湯器まで常温水を運んでいます。

給湯器で温められたお湯は、今度は給湯管を通ってキッチン、洗面所、バスルームなど、お湯を使う場所に運ばれる仕組みです。共用部の給水管は縦に通っているので通称「縦管(たてかん)」、住戸内の水回りに水を供給している給水管と、お湯を供給している給湯管のことを、横に通っているので「横管(よこかん)」と呼びます。

給水管は鉄製、給湯管は銅製であることが大半で、中には給水管も給湯管も銅製というマンションもあります。古いマンションで赤水が出るのは給水管が錆びるせいで、銅製の給水管を使っている場合は管の内部には緑青が付くので赤水が出ません。

鉄と銅では劣化の仕方が異なり、鉄は表面が錆びて薄くなっていきますが、銅は針の穴ほどの小さな穴が開きます。横管は床下に埋まっていますから、普段普通に暮らしていたら劣化が進行していることに気づくことはできません。つまり、ある日突然、階下の住戸で漏水が発生し、加害者となってしまうのです。

床下の横管、実は専有部分だった

ひとたび加害者となったら、悲惨な展開が待ち受けています。何しろ縦管は共用部ですが、横管は専有部ですので、管理責任はその部屋の所有者にあるのです。

階下の人が理解ある人であれば良いですが、知識がなく、自分もまた加害者になる可能性があるのだということを知らなければ、怒鳴りこんできます。故意的に何かをした覚えがなくても、管理責任がある以上、謝罪しなければならない立場に追い込まれます。

自らの部屋も悲惨なことになります。まず、下の住戸からの通報によって、管理会社に雇われた水道工事業者がやってきます。マンションの漏水被害の90%以上は階上住戸の給湯管のピンホールですので、ハナから加害者扱いをされます。

業者が来て真っ先にやることは、給湯管に穴が開いていないかどうかの調査です。他の原因である可能性は1割未満だからです。