はじめに

参入障壁の高い給湯管ライニング

こうした事情を受け、大阪ガスの子会社である大阪ガスリノテックは昨年、給湯管の更生サービスを開始しました。給湯管の内側を樹脂でコーティングし、長寿命化させるサービスです。

しかし、このサービスは穴が開く前の予防用のサービスであり、穴が開いた給湯管には対応していません。管の内側を樹脂でコーティングし、長寿命化するライニング技術は公共のインフラ管では多用されていますし、一般住宅用でも給水管では多くの業者が扱っています。ライニング工事なら、露出配管を新設する必要はなく、非破壊で修繕ができます。

誰しも、家の中に配管を通される露出配管は、できれば避けたいと考えます。その方法しかないと言われても、本当にそうなのだろうかという疑問もわくでしょう。

給水管の場合は鉄製が大半で、銅と違って穴が開くわけではないので、内側を洗浄して汚れを落とし、樹脂でコーティングする技術を持っている業者は多数います。しかし、こと給湯管、しかも穴が開いた給湯管をライニングする技術となると、話は違ってきます。

給湯管は最高で60度のお湯が流れる一方、蛇口が開かなければ管内のお湯は冷やされて温度が下がります。それゆえ、ライニングする樹脂の素材もその環境に耐えられる特殊なものになり、いきなり参入障壁が上がるのです。

築40年超なら発生確率50%以上

このため、給湯管のライニングを手掛ける業者は現状では限られます。開いた穴をふさぐところまでできる技術を持っているのは、残念ながら日本リニューアルという都内の業者1社だけです。

同社は、ピンホール問題が頻発し始めた20年前から、給湯管のライニング事業を開始。以前は穴をふさぐところまではできず、ライニングサービスのみを行っていましたが、5年前に穴をふさぐ技術を開発。2015年8月に特許も取得しています。以来、5年弱の間に実施した給湯管のライニング工事の軒数は4,000件を超えるそうです。

同社によれば、築20年を超えると全体の1割、30年を超えると15%~30%、40年を超すと50%以上の確率で、ピンホールによる漏水事故が発生しているそうです。つまり、中古マンションの所有者にとって、ピンホール問題は他人事ではありません。

最上階以外のすべての住戸の人に被害者となるリスクがあり、1階以外の全住戸の人に加害者となるリスクがあるのです。

マンション全体の問題に波及も

この問題は専有部で起きる問題なので、管理会社はほぼ関心を持ちません。管理会社は共用部分の縦管の修繕計画については提案をしてくれますが、横管については何のアドバイスもくれないのが普通です。したがって、ピンホール事故に関する統計も、世の中には存在しません。

実際に自分が当事者にならないと、個人の問題と考えられがちになることも事実です。しかし、実はそうも言っていられません。

調査費用と階下の住戸の復旧費用について、保険請求をすることになります。それは保険会社側からすると、保険事故として扱われます。実は昨年10月、損害保険会社は一斉に保険料規定を変更しました。新たに築年数と直近2年間の保険事故発生率を、保険料に反映させるようになったのです。

そればかりか、保険事故の発生率が全住戸の13~15%に達すると、保険の加入そのものを断られるようになります。マンション総合保険に加入していない中古マンションは、転売もできなくなります。

[PR]「正直、不動産ってどうなの?」投資、住宅ローン、リフォーム等、失敗しない不動産を学びましょう