はじめに

給湯管に穴が開いていれば加害者確定

排水管からの漏れであれば、階下の住戸に漏れた水が異臭を放ちます。異臭がしなければ漏れた水は上水ですから、給水管か給湯管が疑わしいということになります。

そこで、給水管と給湯管に穴が開いていないかどうかを調べます。給水管もしくは給湯管に穴が開いているかどうかは、給湯器につながっているホースに水圧試験器という測定器を接続すれば、簡単に調べることができます。

給水管には穴は開いておらず、給湯管に穴が開いていると判定されたら、即、加害者であることが確定してしまい、もはやこの結論を覆すことはできません。加害者であることが確定すると、次は穴が開いている場所の特定です。水圧試験器では、どこかに穴が開いていることはわかっても、どこに開いているのかは特定できないのです。

床下に埋まっている給湯管のどこに穴が開いているか調べるのですから、当然床を剥がします。いとも簡単にフローリングを剥がすと宣告され、実際、ずたずたに切断されます。

フローリングを剥がすためには、剥がす位置に置いてある家具は動かさなければなりません。場合によっては引っ越し並みの作業が必要になります。

コンクリートを掘り返されることも…

問題はここからです。分譲マンションの場合、フローリングを剥がして給湯管が現れれば良いですが、そんなに簡単に給湯管が現れるのはプレハブの小規模な賃貸アパートくらいです。

多くの場合、給湯管はコンクリートの中に埋まっています。分譲マンションの場合、上下階を隔てるコンクリートは遮音性を高めるため、厚く塗り重ねられています。

2000年代半ば以降に竣工した物件ですと、コンクリートを塗り重ねる際、横管を通す溝を作り、木製のフタをしてその上から床板を貼る工法がとられている物件もありますので、その場合は床を剥がせば配管にたどり着けます。

しかし、それ以前に竣工した物件は、基本的に配管の上からコンクリートを流し込む工法がとられているので、フローリングを剥がしたところでコンクリートの床が現れるだけです。

悪い業者に当たってしまうと?

ここで良心的な業者であれば、さらにコンクリートを掘って給湯管を探すような無駄なマネはしません。穴が開いた給湯管は使うのをやめ、まったく別の給湯管を別ルートで新設する「管更新」という手法を使います。

穴が開いた箇所だけ切り出して新品と付け替える「管交換」という方法もありますが、古いままのほうの管に、後日新たな穴が開く可能性は十分にあるので、ひとたび穴が開いたら「管更新」で対応するというのが、業界の常識なのです。

しかし、悪質な業者はどこに埋まっているかもわからない給湯管を探すため、あてもなくドリルでコンクリートを掘り続けます。首尾良く給湯管を掘り当てたところで、掘り当てた場所に穴が開いていなければ、穴が開いている場所を求めて延々と掘り続けた挙げ句、結局見つからないから「管更新」にしましょう、ということになるのです。

無駄なコンクリートの掘削作業の分だけ、フローリングを切る範囲も広がり、その分復旧費用も上がり、全体の工事費が上昇することは言うまでもありません。

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