はじめに

繰上げ返済と教育費の準備、どちらを優先させるべきか?

住宅ローンを早く返済したいが、貯蓄が思うように貯まらないと悩まれています。繰上げ返済と教育資金準備、これは、真逆の目的になっています。つまり、早く返済をしてしまいたいが、一方で貯蓄もしたい、というのは相反していますよね。

現在は年間100万円貯蓄できています。お子様がまだ小さく、お金が最もかからない時期だからです。今後、塾などの費用が必要になり、このまま収入が変わらなければ、貯蓄額は一気に減っていきます。

繰上げ返済についてアドバイスをというご相談ですが、繰上げ返済をすると、返済したお金は二度と戻ってきません。ですので、よく考えてから行動してほしいのです。

ですが、残念なことに繰上げ返済は、早ければ早いほど利息の軽減効果があります。したがって、繰上げ返済を効率的に行うなら早い時期に、しかし、その分、手元の資金は貯まらないということになります。

余談ですが、わが家の住宅ローンは、返済方法を元利均等返済ではなく、元金均等返済にしています。元金均等返済は、返済額のうち元金が均等(一定)になるため、毎回の返済で確実に元本を返済していくことができます。ですので、返済額も毎月減っていきます。“勝手に繰上げ返済”というネーミングを付けて、あえてこの方法にしています。

そして、住宅ローンには団体信用生命保険が付帯されています。万が一の場合は、ローンは残らないのです。つまり、生命保険に加入しているということを忘れてはいけません。

また、注意点として、住宅ローン控除が適用される期間は、繰上げ返済によって借入金額が減ってしまうと、税額控除される額も減ってしまいます。

順番からすると、まずは、お子様にかかる費用のMAXの金額を試算します。繰上げ返済の検討はそれからです。

予測できないからこそ、常にリスクヘッジを

ご主人の扶養でいらっしゃるとのこと。お子様がまだ小さいため、フルタイムでバリバリ働くのは厳しいのでしょうか。働き方に対する考えは人それぞれですので、正解はありません。

将来、家計が危機的な状態にならないとは限りません。ご主人は30代で現在は健康に対する不安はないかもしれません。ですが、今後お子様たちが大学等に進む15年後には、ご主人の年齢は50歳手前。この時期に、お子様たちの学費が最もピークを迎えます。

そこで、50歳を迎える年齢時の体力や健康状態について想像をしてみてください。また、仕事については、どうでしょうか。今のまま変わらず仕事を続けていけるでしょうか。

想像ができないからこそ、あらゆるリスク管理をしてほしいと思います。ご主人の収入だけに頼っていると、もし、その収入が減収となったり、途絶えてしまったら大変です。正社員になれるチャンスがあるのでしたら積極的に検討をされてはいかがでしょうか。

繰上げ返済をしながら教育資金を貯めることが可能かどうかは、収入を増やすことが成功のカギです。また、繰上げ返済のタイミングは、教育費の見通しを立てて、繰上げ返済の準備ができてから検討をしましょう。

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