はじめに

60歳定年後から収支が悪化? 浮かび上がった課題

そこで、相談者さんの現状のキャッシュフロー表(45歳から90歳まで)を、以下の前提条件のもと作成してみました(図表1)。

<キャッシュフロー作成前提条件>

・ご相談者(45歳);会社員、年収335万円、手取り年収267万円(可処分所得割合約79%)
・同居家族:母(70歳、90歳まで長生きすると仮定)
・金融資産:700万円

【収入】

・60歳定年後の年収200万円(手取り年収160万円で64歳まで嘱託社員として継続雇用)
・60歳の退職時に退職一時金として500万円
・65歳から老齢基礎年金+老齢厚生年金(年金額140万円)を受取る(年金試算シミュレーションを使用)
・母の年金収入5万円を家族の収入とする
・個人年金は、相談内容に書かれている通り
・がん保険、医療保険から、70歳時点で合計258万円の給付金

【支出】

・基本生活費:月額9万円(住居費、保険料除く)、60歳定年退職後は8割として計算
・住居:2020年は住居費月額3.2万円、2021年以降は、賃貸(家賃8万円)に転居
・医療費・介護費:母が85歳の時に要介護状態になると仮定。1年目100万円、2年目以降36万円(月額3万円)で、介護期間5年とする(※)。相談者自身も70歳以降、医療費として6万円(月額5000円)。※参考:生命保険文化センター「介護にはどれくらいの年数・費用がかかる?」
・保険料:月額2.7万円×12ヵ月=32.4万円として計算(個人年金の保険料は60歳まで月額5000円、医療保険とがん保険の保険料払い込みは終身として試算)
・その他:家電製品買い替え、旅行・レジャー費、毎月の生活費の補てんなど、年額25万円(ボーナス45万円-ボーナス時貯蓄20万円)、60歳定年退職後は8割として計算

図1

図表1の現状のキャッシュフローから気になる問題は大きく2つです。

(1)60歳定年退職後の収支が悪化する
(2)現状では、71歳以降、収支の赤字が続く

とくに、(1)については、相談者さんの場合、同居するお母さまの介護の時期と重なる前提条件のため、定年後、収入が減少した上に、介護費用などで支出がかさむと、なおさら家計は厳しく感じられるはずです。

しかし、これは、わざとそのような設定にしたわけではありません、女性の場合、80歳後半から要介護状態になる方が増えてくるのです。いくらお元気であっても、うっかり転倒して骨折。寝たきり状態から一気に認知症を発症するケースもあります。一定の年齢になれば、「いずれそのうち」と備えておいた方がよいということです。

また、来年を目安にマンションを売却予定ですが、売却益などは試算に反映させていません。仮に、ある程度の売却益が得られた場合、資産寿命は多少延びるはずです。