はじめに

事業の再建に使える制度にはどんなものがある?

ここまでは、家計面を中心に見てきましたが、家計を支える商売についても立て直していく必要があるでしょう。個人の方と同様に、事業者(中小企業者、個人事業者)向けにもさまざまな支援策が用意されています。

【給付金】
すでにご存じかと思いますが、感染症拡大により、特に大きな影響を受ける事業者に対して、事業の継続を下支えし、再起の糧とするために、事業全般に広く使える給付金として、持続化給付金が支給されます。

●持続化給付金
新型コロナウイルス感染症の影響によって、ひと月の売上が前年同月比で50%減少している事業者に該当する場合、給付の対象になります。
・給付額:個人事業者100万円(法人は200万円)※昨年1年間からの減少分を上限とする
売上減少分の計算方法
前年の総売上(事業収入)-(前年同月比▲50%の売上×12)
※10万円未満切捨て
※白色申告で前年同月比の比較ができない場合、比較する月収が、昨年の事業収入÷12で計算した金額になります。
・申請期間:令和2年度補正予算成立の翌日から令和3年1月15日
・申請方法:持続化給付金の申請用HP
 ※申請支援窓口が設置される予定
持続化給付金

●東京都感染拡大防止協力金
相談者様の場合、東京都で営業されている飲食店なので、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、東京都の要請や協力依頼に応じて、全面的に協力した場合、協力金が支給されます。具体的には、緊急事態措置の期間中(令和2年4月11日から5月6日まで)のうち、少なくとも4月16日から5月6日までの期間、休業もしくは食事提供施設の場合は営業時間を短縮した場合、協力金が支給されます。
・給付額:50万円(2店舗以上の事業者は100万円)
・申請期間:令和2年4月22日から6月15日
・申請方法:ホームページからの申請、他郵送・持参(都税事務所に設置された専用ボックス)
東京都 感染拡大防止協力金

相談者様の場合、持続化給付金と東京都感染拡大防止協力金とを合わせて150万円の給付金が受けられる見込みです。

【融資制度】
給付金や協力金を受給しても資金繰りが厳しいという場合は、融資制度を活用します。新型コロナウイルス感染症の影響を受け、売上が減少した事業者に対して、実質無利息・無担保の各種融資制度が用意されています。

●政府系金融機関と信用保証協会を利用した資金調達
大きく2通りあって、政府系金融機関である、日本生活金融公庫、商工中金が直接事業者に貸し出す方法と、民間の金融機関(銀行、信用金庫など)が貸し出し、信用保証協会が公的保証を行い、都道府県や市区町村が利息や信用保証料を補助する制度融資という方法があります。セーフティネット保証は、信用保証協会を使った金融支援の仕組みとなっています。

ポイントは、直接貸し付ける日本政策金融公庫・商工中金と、各都道府県の制度融資、市区町村の制度融資の買入条件を比較することです。借入期間、据え置き期間の長さ、無利息の期間、無利息期間経過後の金利、保証料補助の有無などです。
国、都道府県、市区町村単位で金融相談を受けられる窓口を用意していると思いますので、調べて、相談してみてください。

●小規模企業共済による資金調達
上記の緊急融資制度は、申し込みが殺到しており、融資の実行までかなりの時間を要すると聞いています。相談者様の場合、小規模企業共済に加入されているとのことですので、特例緊急経営安定貸付けの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
・借入額:50万円~2000万円(掛金納付月数に応じて、掛金の7割~9割)
・借入期間:借入額が500万円以下の場合は4年、借入額が505万円以上の場合は6年(いずれも据置期間1年を含む)
・利率:0%(無利子)
・返済方法:据置後、6か月毎の元金均等払い
・提出先:中小機構(小規模企業共済を運営)
共済制度|中小機構

ただし、令和2年4月30日時点で、申請申込様式は調整中とのことですので、申込は始まっていない状況です。

どのくらい借入をすれば良いのかということですが、新型コロナウイルスの影響がどのくらい続くかわからない状況です。足りなくなればまた申込をすれば良いという考え方もあるかもしれませんが、少しゆとりをもって多めに借りて、状況が落ち着いた頃や利息が発生する時期に合わせて、一部繰り上げ返済などした方が良い、と個人的には思います。

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