はじめに

固定費を増やすリスクを考え直す

購入を検討している自動車は、寮で一人暮らしを始める次女さん用とのことですが、自動車の購入は必須でしょうか。もし、寮生活に自動車が必須でなければ、「今は買わない」という選択も検討していただきたいです。

自動車購入となると、ある程度まとまった資金が必要になります。現在230万円ある金融資産のうち、自動車費として仮に100万円が出ていくとなると、残高が130万円に減ってしまい、心もとない状況になります。

第3区分の奨学金が受給できるということなので、第1区分の学生の3分の1の金額が毎月支給され、学費も第1区分の学生の3分の1が免除になるということですね。不足分の学費と生活費についてはご相談者さんの家計から出ていくか、お子さんがバイト等で捻出するか、奨学金を借りるかということになるでしょう。

自動車購入で金融資産が大幅に減るのも心配ですし、マイカーローンの利用となると新たに借金を抱えることになります。さらに、自動車購入となると、月々の車の維持費も増えます。現在月1万円かかっている維持費が、月に2万円になるでしょう。

これまでの経済状況であれば、それでも何とかなったのかもしれませんが、コロナウィルスの影響もあり、急速に景気が悪化しています。アルバイトが今までどおりにできなくなることや、会社の業績が悪化して収入が減るなど、景気の悪化による収入減少のリスクが出てきました。

その時に、新たな固定費を抱えること、将来の返済負担を抱えること、手元の現金を減らすことのリスクを重く受け止めておきましょう。

もしも、自動車購入が必須の場合には、何が起こるかわからないご時世ですから、手元の資金を減らさない方向で考えて下さい。中古車を選択し、なるべく低利の借入を検討しましょう。

投資信託をやる際の基本の「き」

お手持ちの金融資産は230万円。ご相談者さんにとっては、だいたい1年間の生活費に相当します。このうち、現金が50万円、投資信託が130万円、純金積立が50万円ということでしたね。

投資信託が順調に上がっているときには、リターンを得られていましたが、値下がりしたことで家計が大きなダメージを受けています。今の状況でお伝えするのも申し訳ないのですが、本来、当面の生活費、確実に使うお金は、現金や預貯金で確保すべきもの。投資信託は余裕資金や老後資金の運用という位置づけで所有すべきで、近い将来に支払うことが決まっている教育費や自動車購入費に充てるべきものではありません。

投資のコツは、「大きく下がったところで売らない」ことです。ご相談者さんの場合、次女さんが大学に入学したところなので、これから4年間が家計の正念場となります。この4年間を売却せずにしのぐことができたら、その後も投資信託を保有し続けて、上がったところで売却できるでしょう。

投資信託の相場は近頃、大きく下がりました。今後、どの程度回復に時間がかかるかはまだ読めない状況ですし、場合によっては一段と下がる可能性もあります。こうしたときにも、あわてず騒がず、嵐が通り過ぎるのを気長に待つ姿勢が重要になります。そのためにも、手元の金融資産を確保して、しばらく続くと思われる不安定な世の中に備えましょう。

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