はじめに
先週発表された5月の米雇用統計は予想外の改善を見せました。これを好感した株式市場は上昇に弾みがつきナスダック総合は史上最高値を更新しました。日経平均も2万3000円の大台を回復しました。
コロナで急落する前の2月21日終値は2万3,386円ですが、「コロナ前」をもっと長く見れば日経平均は2万3000円~2万4000円のレンジで推移していました。その意味では2万3000円の大台回復なら、ほぼ「コロナ前」に戻ったと言えるでしょう。
慎重派「今の株価は実体経済と乖離したバブル」
問題はここから先の展開です。市場関係者の見方も分かれています。QUICKが8日発表した6月の株式月次調査をみると、日本株について二番底の有無を問う質問で「二番底はない」と「9~12月に二番底が来る」がともに最多の32%で拮抗しています。
コロナ禍という、いま生きている人は誰も経験したことない危機の後だけに、今後の相場の先行きは不透明です。僕自身は「二番底はない」か、たとえあったとしても浅い調整で済むと考えていますが、もちろん相場の先行きは誰にも分かりません。再び深い下落局面が来るかもしれません。
そう予想するひとがいるのは構わないのですが、慎重派の中には、「今の株価は実体経済と乖離しているバブルだ。だからいずれ大きく下がる」――つまり、いまの相場は間違っているから修正を迫られるという見方がありますが、その考えこそ間違っています。
市場は常に正しい。これが市場に関わる者の金科玉条です。相場が今後下がるとしても、それはその時の状況に反応して下がるのであって、いま市場がつけている価格が間違っているから下がるというものではありません。
<写真:森田直樹/アフロ>