はじめに

貸したお金が返ってこないリスク

でも、高い金利には相応のリスクがあります。

どうして日本の10年物国債利回りが年0.010%なのに、アルゼンチンだと4年物国債で年48%超というとんでもない利回りになるのでしょうか。

国債は国の借金です。お金を貸す側からすれば、返してもらえなくなるリスクがある相手には、できるだけ貸したくないと考えるでしょう。それでも貸すとするならば、何か見返りが欲しいところです。つまり高い金利は、貸したお金が返ってこないかも知れないリスクを負うことに対する見返りなのです。

掲載表の利回りの横にある「自国通貨長期格付」を見て下さい。これは格付会社であるスタンダード&プアーズ(S&P)のもので、最も高いAAAからAA、A、BBB、BB、B、CCC、CC、C、Dという10段階で、元利金返済の確実度合いを示しています。この格付でBB以下の債券を「投資不適格債(もしくはジャンク債)」といって、BBB以上の債券に比べて貸したお金の返済が滞るリスクが高いと考えられています。

なお、アルゼンチンの場合は「SD」と表記されていますが、これは「選択的債務不履行」のことで、同国が国債を発行して調達した資金の一部がすでに焦げ付いていて、返済出来なくなっている状態であることを示しています。アルゼンチンはある意味、債務不履行の常習者のような国で、5月22日に約5億ドルの国債利払いが出来なくなったことから、2014年以来、何と9度目(!)の債務不履行に陥りました。だからアルゼンチンの国債は、年48%超もの高利回りになっているのです。

どんな国債でも買えるわけではない

「それでもイチかバチかでアルゼンチン国債を買いたい」という人も、ひょっとしたらいるかも知れません。

今のテクノロジーをもってすれば、海外の債券市場でも、株式市場と同様に個人の売買注文を出せそうなものですが、実は債券市場は機関投資家中心のマーケットであり、最低の売買ロットが株式とは比べ物にならないくらい高額だという現実問題にぶつかります。つまり、個人投資家が債券市場で取引されているさまざまな債券を自由に売買するのは、現実的に不可能です。

それでも時々、インターネット証券会社が高利回り外貨建て債券を個人向けに販売しているのは、その証券会社が在庫として確保している債券を、個人でも買えるように小口に切り分けているのです。トルコ・リラ建て債券やロシア・ルーブル建て債券、南アフリカ・ランド建て債券などは、表面上の利回りが高いという理由で購入する個人もいますが、これらの外貨建て外債も、販売している証券会社が在庫として抱えているものを、個人向けに小口分売しているだけの話です。

したがって、確かにアルゼンチン国債やウガンダ国債の利回りは魅力的ですが、証券会社に在庫が無ければ、いくら利回りが魅力的であっても個人は買うことができません。それに、そもそも「SD」などという低格付けの債券を、日本の証券会社は個人向けに販売しないでしょう。

なぜなら後々、顧客との間でトラブルのもとになるリスクがあるからです。実際、アルゼンチン国債が2001年に債務不履行に陥った時は、日本の個人もそれを買っていたため、ちょっとした騒動になりました。