はじめに
ウィズコロナ、アフターコロナの消費は
5月半ばから段階的に緊急事態宣言が解除され、デパートやレジャー施設の営業再開の動きが広がっています。感染拡大前と比べれば大幅に少ないようですが、人の流れは戻りつつあるようです。新型コロナの影響で変わった消費は、これからどうなるのでしょうか。
おそらく消費全体としては低迷が続くでしょう。現在、雇用環境が急速に悪化しているため、収入減少や先行き不安から消費を控える方が多いと考えられるためです。
また、依然としてウイルスとの戦いは続いています。ワクチンや特効薬の開発など科学的な解決方法が登場しない限りは、旅行やレジャー、外食、ファッションといった外出型の消費は、4月よりも増えたとしても、感染拡大前ほどには戻らず、消費全体にもマイナスの影響を与えるでしょう。裏を返すと、外出型消費は、科学的な解決方法が登場すれば、戻りが早いとも言えるでしょう。
一方で、今回の事態で変化が加速したまま、新型コロナの問題が解決したとしても続く流れもあります。
その1つにデジタル化の加速があげられます。巣ごもり生活の娯楽ではデジタルサービスが増えていたように、ネット通販やキャッシュレス決済サービスの利用などもあわせて、今回の事態で消費のデジタル化が一層進みました。
オンライン診療やオンラインフィットネスなど、これまではリアルでのサービス提供が当然と思われていたものが次々とオンラインで対応し始めたことで、今後は、店舗でしか対応していない、契約に紙や印鑑が必要といった形では、消費者に選ばれにくくなったのではないでしょうか。全てがオンラインに置き換わるわけではないにしろ、今後、一層の付加価値が求められる対面サービスもありそうです。
一方で近年、サブスクやシェアを活用したモノを持たない暮らしが広がっていましたが、今回の事態によって、あらためて持つべきモノを考え直した方もいるのではないでしょうか。新型コロナの問題が解決しても、グローバル化が進む中では、新たな感染症のリスクは常に存在します。本稿で見たように、自動車や自転車など、その人の暮らしによって必要なモノを再び持つようになるといった揺り戻しが、一部で生じる可能性もあるでしょう。
そして、今後も続く流れには、働き方のテレワークシフトもあげられます。今回の事態では在宅勤務でのテレワークへと大きく舵が切られましたが、これはそもそも「働き方改革」で進められていた流れです。今後とも多くの業種で在宅勤務が併用されることで、テレワーク関連商品は一定程度行き渡るまでは、好調な売れ行きが続くのではないでしょうか。
また、オフィスへの出勤が減り、家の中で過ごす時間が増えることで、イエナカ生活を豊かにするような需要は引き続き堅調でしょう。
さらに、住まいも変わる可能性があります。近年、利便性から、共働き世帯を中心に都心のタワーマンションなどの人気が高まっていました。しかし、今後は、夫婦それぞれの十分なワークスペースを取れる郊外の住居に住み、自然に囲まれた暮らしを選ぶ方もあらわれるのではないでしょうか。
新型コロナによる消費の変化には、いずれ元に戻るであろうものと、今後も続くものが混在しています。これからの生活で何を大切にしていきたいのかを十分に考え、賢くお金を使っていきたいものです。