はじめに

米国の大規模な金融・財政政策

これまでの米国政府・金融当局による新型コロナ対策は十分、及第点に値するものと考えられます。金融政策の面では4兆ドル規模の金融緩和策を打ち出し、信用収縮を未然に防ぐことに成功しています。

また、財政支出を含む景気刺激策の面でも家計や企業の資金繰りを支援することなどで、一定の成果を挙げていると判断されます。

そうした一連の対応の結果として、景気の歯車を回す雇用環境は、少しずつ正常化に向かって動き始めています。6月第3週分の新規失業保険申請件数は148万件と、12週連続で減少しました。着実なペースでの雇用回復には引き続き期待が持てそうで、それが景気回復の起点となります。

5月の小売売上高は前月比+17.7%と、過去最大の伸び率を記録しました(前年同月比では▲6.1%)。株価上昇が消費マインドにプラスに作用した点もさることながら、所得面で各種の政策が家計を強力にバックアップした効果が大きかったと推察されます。

4月の米家計の貯蓄率(可処分所得に占める貯蓄の割合)は、過去最高となる33.0%に達しました。政府の支援で可処分所得が増えたにもかかわらず、貯蓄率が上昇したのは、外出制限などによって、家計の支出が抑制されたことが背景にあります。

外出制限が緩和され始めた5月の小売売上の好調は、抑圧された消費行動の反動といえるでしょう。段階的に行動制限が緩和されている現状を踏まえれば、個人消費の拡大余地は大きいと考えられます。

また、直近では、一部のメディアが「トランプ政権が第4弾となる景気刺激策導入の準備に入った」と伝えました。その内容は1兆ドル規模のインフラ投資計画で、道路や橋など従来型のインフラ整備のほか、5G移動通信インフラなどにも資金が振り向けられるとのことです。

草案のタイミングや財源など不明な部分が多く、実現性も定かではありませんが、このような期待の存在がマーケットを支えていくと予想されます。

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