はじめに

5~10年以内に使う資金は「まもる」殖やし方で

現在の預貯金400万円のうち100万円を投資にまわすか迷っているとのことですが、この預貯金のうち大半を自動車にあてる予定であるならば、投資に回すのは得策ではないでしょう。5~10年以内に使う資金は、お金をできるだけ減らさずに「まもる」のが良いからです。

具体的な「まもる」商品としては、ネット銀行の高金利定期預金か個人向け国債が選択肢となるでしょう。新たな口座開設が面倒でなければ、都市銀行の定期預金の金利が0.02%であるのに対して、高いところは年利0.2%で預けられるところもあります。ただし10年満期の高金利定期預金はなかなかないので、短期のものに預けて都度判断することになります。

個人向け国債はインフレ対策に有効

個人向け国債は、半年ごとに利息を受け取るタイプの商品です。最低保証金利が0.05%なので、都市銀行の定期預金よりはよっぽど殖やせます。固定と変動タイプがありますが、10年後に満期を迎える変動タイプが良いでしょう。また世の中の金利変動に連動することが決まっているため、インフレ対策にもなります。

株式の保有銘柄の偏りに注意

少々気になったのは、始めたばかりとおっしゃる投資先です。現在、国内株式を300万円、投資信託を150万円、他はiDeCoとつみたてNISAを積立てされていますね。投資信託や積立投資の銘柄がわかりませんが、投資先は国内株式に偏っていないでしょうか。今後はコロナウイルスの影響もあり、株式によっては大きく落ち込むこともあり得るでしょう。どんな株式を保有しているか不明ですが、買い増しがその後凶と出ることも。現在の資産の半分以上がリスク資産なので、しばらくは買い増しせずに、預貯金を増やしていくのがよいと考えます。

収支がトントンでも生活に満足しているなら大丈夫

毎月の投資と自動車のための積立を合わせると7.6万円。収入21万円の4割近くを占めています。貯金や投資にまわした結果、トントンになることは全く問題ないのですが、心配なのは、残ったお金で生活することに窮屈や不便を感じていないかということ。使い道を見ると、娯楽費や被服費がないのが気にかかりました。貯金や投資は「未来」への備えですが、「現在」の人生も同じように大切なものです。もし少しでも「もう少し余裕があったらいいなあ」と思うのであれば、積立投資を満額までせずに、下げる方がいいでしょう。もし今の生活で満足であれば、トントンでまずいということはないですよ。

金額を下げるならば、iDeCoには所得控除の効果があるため、つみたてNISAの金額で調整することをおススメします。もしくは、課税口座の投資信託の一部(例えば60万円分など)を売却してつみたてNISA口座に入れて、毎月の収入から出ていく金額を減らす方法もあります。

何かあった時にすぐに引き出せる流動性の資産があり、将来のための備えもしているのならば、残ったお金をどんな風に使っても大丈夫。「今」の人生を楽しむことにもお金を使い、リスク資産が増えすぎないように気を付けながら、この調子で資産形成を続けてくださいね。

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのFPが答える「みんなの家計相談」の過去の記事一覧はこちらから。

この記事の感想を教えてください。