はじめに

企業年金終了の崖

3つ目の崖が、企業年金の終了です。

企業年金は、以前は終身年金があり一生涯企業年金を受け取ることができました。しかし現在は終身年金を採用している企業は少なくなっています。長寿社会でしかも低金利時代ですので、終身年金を維持するのは難しい時代です。企業年金の中心は有期年金になっていて、平均で15年の有期年金というのが多いです。

ということは、60歳から企業年金が始まると、だいたい75歳ぐらいで終了するということになります。意外に企業年金が終わるということを忘れていたという人が多くいます。

「たしかに企業年金の説明は受けたけど……」と、そのことはすっかり忘れていたとか、「ずっと受け取れると勘違いした」という人もいました。企業年金の終了の通知を受け取ってから慌てないでください。企業年金の額は、それぞれ異なると思いますが、毎月の5万円や10万円の収入がなくなると言うのは、かなりなダメージになります。老後資金の取り崩し額がグッと増えて、資金計画が狂ってしまい老後破綻なんてこともあります。注意が必要です。

介護・認知症の崖

4つ目の崖が、介護・認知症のリスクです。健康寿命というのをご存じでしょうか。

健康寿命とは、健康で問題なく日常生活を送れる期間のことです。男性が約72歳、女性は約75歳です。平均寿命との差でみると男性は8.84年、女性は12.35年です。ということは健康寿命の尽きた期間は9〜12年間あり、この期間はなんらか不健康な状態ということです。いくら元気だといっても70歳以降は、とくに健康には留意したいです。やはり大きな問題は、介護、そして認知症です。

では、介護になった時には、どのくらいの費用がかかるのかというと、約800万円です。損保ジャパン日本興亜の「介護費用に関するアンケート調査」では、介護にかかる初期費用は98.1万円、介護にかかる月額費用は12.7万円、介護費用の総額は平均787万円という結果があります。

介護の期間というのは、どのくらい続くのかを事前に予想することはできませんが、介護費用として800万円くらいは予備費を準備しておきたいものです。

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