はじめに

投機に向くもの、ヘッジに向くもの

先物取引とCFDは投機向きです。というのも「レバレッジ」といって、投資元本に対して何倍もの金額もの取引ができるからです。

たとえば金先物取引の場合、1キログラムを売買するのに必要な証拠金額は23万円程度です。金1グラムが7000円だとすると、1キログラムは700万円です。それを23万円で取引できるのですから、レバレッジは30倍になります。金CFDのレバレッジは20倍程度です。このようにレバレッジが掛かっている分、わずかな値動きでも損益の額が大きくなります。それだけハイリスク・ハイリターンであり、投機向きといっても良いでしょう。

しかも金先物取引には取引期限があり、最長でも1年程度ですから、ヘッジ目的で長期保有することはできません。つまり投機としてしか用いようがないのです。

もしヘッジ目的で金を購入するのであれば、ずっと保有し続けられるものが適しています。その代表的なものが金地金であり、地金型金貨です。あるいはそれらと等価交換ができ純金積立という方法もあります。

ただし、金地金や地金型金貨の場合、実物をそのまま手元に置いておくと、盗難などのリスクが高まります。また地金型金貨は地金を金貨に加工するためのコストが価格に含まれますので、単純にリスクヘッジ目的で購入するのであれば、金地金を選ぶ方がお得です。

金の実物を保管するのが難しいのであれば、金ETFや金鉱企業株投信を買うという手があります。いずれも有価証券ですが、証券保管振替機構によって証券そのものがペーパーレス化されているので、紛失・焼失するリスクを回避できます。また、金ETFや金鉱企業株式投信は、インフレリスクをヘッジする目的で用いることができるだけでなく、比較的短期間で値上がりした時は、売却・解約によって利益確定が容易に行えるため、投機に近い運用手法にも活用できます。

ただ金鉱企業株投信は、解約によって純資産残高が大きく目減りすると償還されてしまうリスクがあります。また金ETFは裏付けとなる金を分別管理しているため、原則として信用リスクはありませんが、取引が少ないと償還されるケースがある点には注意が必要です。

この点、金地金や地金型金貨を売却する際には、貴金属を扱っている業者に実物を持ち込み、鑑定したうえで売却という手順を取るため、いささか手間が掛かります。したがって、金地金や地金型金貨は売却して利ざやを稼ぐという投機的な手法には、そもそも馴染みませんし、急に現金を手当てしなければならなくなった場合などを考慮すると、いささか不便です。

このように、金投資にはさまざまなツールがありますが、保管の手間がなく、ヘッジ目的と投機目的の両方を同時に満たせるという点において、金ETFが最も使い勝手が良いと考えられます。

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