はじめに

子どもが陰性でも一緒に入院?

まもなく保健所から電話があり、1時間半後に検査できる大学病院が見つかったとのこと。バスと電車を乗り継いで約50分の場所です。「できるだけ公共交通機関は控えてください」と言われましたが、自家用車はありません。

保健所職員に聞いても、「あくまでお願いベースです」「タクシーの窓開けて換気しながら行かれる方もいます」などと、曖昧な返事。迷いつつ、タクシーで向かいました。

陽性だった場合、子どもの世話はどうすればいいのでしょうか。保健所の回答は、「基本的に親族などに預かってもらうことになります。一緒に入院できる病室もありますが、数が限られます。子どもが陰性だとうつしてしまう可能性もあります」とのこと。調べてみると、預かってくれる人がいない場合は、児童相談所が一時保護したり、ホテルなどで預かってたりする自治体もあるそうです。

しかし、どの選択肢も選びづらいものでした。頭を抱えながら病院に向かいました。

もう検査を受けずに逃げたい

大学病院の敷地内に着いたら、指定の電話番号に電話をかけるように指示されていました。病院の裏口に誘導され、待機していた看護師が「こんにちは」と迎えてくれました。緊張が少し緩みました。

小さな部屋に通され、ビニールシートで囲った畳一畳ほどの空間に置かれた椅子に座りました。保険証をシートの隙間からそっと差し出し、体温と血中酸素濃度を測り、ビニールの外にいる医師から問診を受けます。まるで自分が病原体か珍獣になった気分です。


このようなビニールシート越しに診察を受けた

医師からは、「陽性となったらそのまま入院ですが、大丈夫ですか。症状がすぐに消えれば、隔離は10日ほどです」と確認されました。

家では0歳の子が待っています。全く大丈夫ではありません。今はたまたま、上京している母が面倒を見てくれているけど、10日間も頼めるのか。10日間も親と離れ離れで、寂しくて泣きはしないだろうか。

不安が頭の中をぐるぐる周り、なかなか返事ができません、「自宅療養はできませんか」と声を絞りだして聞いてみたものの、「うーん、保健所の判断ですね」とはっきりした返事はありません。

陽性が出た後、もし一旦家に帰れるとしても、公共交通機関を使うことは許されません。「誰かに迎えに来てもらえますか」と聞かれましたが、平日の日中、自家用車で来てくれる知人は思い当たりません。「もし陽性が出たら大変なことになる。検査を受けずに逃げ帰ろうか…」という考えが一瞬、頭をよぎりました。