はじめに

iDeCoと国民年金基金どちらに比重を置くべき?

各制度の詳しい内容については、別の記事におまかせするとして「じゃあどれを選ぶのが良いか」ということの視点でお話をしていきたいと思います。

国民年金基金とiDeCoを同額同条件で比較をしようと思いますが、国民年金基金が口数の増減により掛け金が決まるため、ぴったり満額の6万8000円に計算上合わせることができません。iDeCoは1000円単位になるので、同額で比べられる5万4000円を掛け金として採用して比較をしてみます。

仮に、iDeCoで5万4000円を60歳になるまでの22年間運用し、65歳から受け取った場合と、国民年金基金に終身年金B型で計14口の5万4000円の場合、どちらが得になるでしょうか。

何歳で差がでるか?

iDeCoで5万4000円を60歳になるまで積み立て、仮に3%で運用、65歳で受取の場合は、積立元本が1490万4000円になり、運用益が980万8338円で、合計が2471万2338円になります。運用が仮に1.5%だった場合は、積立元本は同額ですが、運用益が423万1639円となり合計が1913万5639円となります。

国民年金基金のシミュレーションによると、今からB型で始めた場合は、65歳からの受取額は、99万8400円/年となります。仮に87歳の平均寿命まで生きる場合22年間で2196万4800円となります。iDeCoが1.5%の平均利回りだった場合は、85歳で国民年金基金のほうが上回ることになります。また、iDeCoが3%で運用できていた場合の2471万2338円なので、国民年金基金B型の場合は90歳になって2496万円となり、iDeCoを超えます。

さらに生きて95歳まで生きている場合は2995万2000円になり、iDeCoが1.5%の平均利回りだったときとくらべ1000万円の差が出ます。

具体的な課税所得がわからないのでアバウトになりますが、どちらもさらに年間で24万円ほどの節税は受けられると思いますので、60歳までの22年間で500万円以上の節税が期待できます。

iDeCoと国民年金基金のメリットとデメリット

iDeCoは運用を自分で指示しなければならないことと、運用益がどうなるかは確定していないのでボラティリティ(価格の変動性)があります。一方、国民年金基金は、早くに亡くなってしまった場合にもらえない額が出てくるというデメリットもあります(国民年金基金のA型を選ぶことで、最低保障額を得ることもできるが、B型に比べて1年あたりの年金額は減る)。

ですので、なにごともバランスが重要ということになります。iDeCoで平均利回り3%以上の運用ができると思い、90歳まで生きないと思えばiDeCoを中心にバランスをとるほうが良いでしょう。逆にiDeCoで平均利回り1.5%ほどを想定している場合は、85歳以上で国民年金基金が有利になりますので、国民年金基金に比重をかけていく方が有利ということになります。

満額の6万8000円を拠出できるようであれば、上記の視点でバランスをとっていただくのがよいのではないでしょうか。

参考までですが、国民年金基金に加入した場合は、現在入っている付加保険料に加入ができなくなります。考え方としては国民年基金にすでに内包されているという考え方になるようですので、ご認識しておいていただければと思います。

現金預金と掛け金のバランスはライフプランから決めて

所得控除の各種制度を使うと、60歳以上にならないと現金として受け取れないなど一定の条件があり、「流動性」が下がります。

現在の家計を見る限り、6万8000円は無理なく拠出できると思いますし、現金貯蓄もあるので、さらに小規模企業共済も含めて所得控除額を増やしていくことは十分に考えられます。ですが、現金貯蓄がいつまでにいくら必要かを決めるのは、ご自身のライフプランをしっかりと考えてからのほうが良いと思います。たとえば住宅を購入したくなったときなどは大きくバランスが変わってくると思います。掛け金を決める際は今後の人生設計とお金の計画をしっかりと立ててからが良いでしょう。

以上、参考になれば幸いです。

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