はじめに
金融広報中央委員会の調査結果(「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」平成27年調査結果)によると、老後の生活を心配していると答えた世帯は、「非常に心配」と答えたのが39.6%、「多少心配」と答えたのが41.0%、合計すると80.6%にもなりました。不安の理由については、「年金や保険が十分ではない」と答えたのが72.5%と最も多く、老後の資金に関する不安が大半を占めていました。
では私たちの定年退職後、主な収入源となる公的年金は、なぜ十分な額を期待できないのでしょうか。また、老後の資金対策として今から資産形成するうえでは、どのような考え方で、どういう商品に資産を配分していけばよいのでしょうか。特にまだまだ資産形成を考えることが少ない若い世代の人に向けて、本記事では簡単に紹介したいと思います。
それでもリスクが気になる人には、「個人向け国債」
リスクが低く、シンプルな金融商品の中に「個人向け国債」があります。国は、税金による収入から、国家運営のための経費支出をしますが、収入が足りない分を「国債」を発行して資金の調達を行います。国債の元利の返済は国が責任をもって行います。「個人向け国債」は、国が発行する「国債」の種類の一つで、銀行や証券会社等を通じて、一般個人が最低1万円から1万円単位で購入することができるものです。
では、リスクが低く、シンプルというのはどういうことでしょうか。
「個人向け国債」の特徴を端的に言うと、最低0.05%(税引前)の金利が年2回に分けて半年ごとにもらえます(正確には国債の実勢利回り等を考慮した基準金利を基に算出される金利と0.05%とを比較し、高い金利が適用される)。発行後、1年経過すれば直前2回分の利子が手数料として差し引かれますが、いつでも中途解約により元本での換金ができます。
つまり、1年以上保有していれば、元本割れの心配がなく資産運用ができるのです。ただし、1年経過後すぐに解約してしまうと、直前2回分の利子が差し引かれるため、得する分がなくなってしまいますので注意が必要です。
個人向け国債の商品ラインナップは3本で、変動10年(変動金利型10年満期)・固定5年(固定金利型5年満期)・固定3年(固定金利型3年満期)があります。
民間経営の銀行と国の信用を比べると、よりリスクが低いのは国といえます。1万円という少額から購入できますから若い社会人でも始めやすいでしょう。「しっかりと貯めるお金」の運用先としても考えられます。
詳細は財務省のホームページ等をご覧いただくといいでしょう。
2016年1月、日銀によるマイナス金利政策が導入されました。マイナス金利という言葉が独り歩きしている印象もありますが、一般個人の銀行預金にマイナス金利が適用されることは今のところありません。マイナス金利とは、銀行が日銀へ預け入れる「日銀当座預金」を積み増していく分に0.1%のマイナスの金利、つまりペナルティを課しますよ、というものです。狙いは、銀行が必要以上に日銀に預けることを抑制し、銀行から企業への貸し出しを増やし、より民間の設備投資等への経済の活性化に繋がることへお金が回るように企図したものです。
これにより債券市場でもマイナス金利が発生し、実際に市場で流通する満期10年の国債利回りは既にマイナスになっています(市場に流通している国債で「個人向け国債」とは別のものです)。これは、国債を市場で購入し満期まで持つと投資家は損をするということです。少し難しい話になりますが、利益を出すには買ったときより金利がさらに低下し(マイナス幅が拡大し)、国債価格が途中で上昇したところで売る必要があります。市場では、満期までの債券価格は変動していて、金利上昇(下落)は債券価格の下落(上昇)という関係にあります。
一方、個人向け国債は元本が割れないうえに、最低0.05%という金利は確保されているので、1年以上保有していれば損をすることはありません。市場の金利が上昇すると債券価格が下落しますが、変動10年(変動金利型10年満期)であれば、金利が上昇すると金利収入は増え、急にお金が必要になっても、直前2回分の利子というペナルティを支払えば元本で換金できます。将来的な金利上昇リスクへ対処もできることにもなります。
損だけはしたくない、慎重な性格だけど資産運用は始めてみたい、という方には、投資先候補の一つとして個人向け国債を検討されるといいかもしれません。
※本記事は財務省のスポンサードコンテンツです