はじめに
新型コロナウイルスの感染拡大で在宅時間が増える中、気になるのは家計への影響です。”ウィズコロナ”の生活が当面続くことを考えると、家計も新しいライフスタイルに対応するための見直しが必要になりそうです。
株式会社アイ・グリッド・ソリューションズが2020年3月15日から30日間、同社の電気利用サービス利用者を対象に実施した調査によると、約6割の世帯が前年同期比で電気使用量が増加、電気代に換算すると平均1,700円増加していることがわかります。
そこで、ファイナンシャル・プランナーである筆者が提案するのは、電気自動車(EV)を活用した家計節約術です。電気自動車が家計にどのような影響を及ぼすか、解説していきましょう。
太陽光発電システムのある家庭にはさらにメリットが
自宅に太陽光発電システムを持っている家庭にはさらにメリットがあります。太陽光発電システムは、発電パネルなどの初期費用はかかりますが、自宅で発電した電力を活用して電気代を軽減できるほか、余った電気を売電することで収入も得られるとあって、近年設置する家庭も増えているようです。
太陽光パネルによる自家発電での売電価格は「固定価格買取制度(FIT)」によって設置から10年間固定されています。しかし、その期間は2019年11月から順次満了(通称「卒FIT」)となるので、これまでは高く売れていた電力を安売りすることになり、家計には大きなマイナスとなってしまいます。
このため、卒FITとなる家庭は発電した余剰電力を売電するよりも自家消費するほうが、売電収入より電気代減額が上回り、メリット大です。一般的に、発電量が多い日中は電力消費量が少なく発電した電力を使い切れません。そこで余剰電気を売るのではなく電気自動車に貯めておけば、夜間の生活電力として活用できるというわけです。
おトクになるにはハードルも
ただし、すべての人にとって電気自動車がおトクになるわけではありません。初期費用を重視するならガソリン車の方が選択肢が豊富ですし、トータルコストでも、軽自動車やコンパクトタイプのものを含めるとガソリン車に軍配が上がることが多いからです。
また、電気自動車はフル充電しても満タンにしたガソリン車には航続距離の面で劣ります。充電スポットはどんどん増えているとはいえ、1回の走行距離が長い人には途中の充電に不安を感じることもあるでしょう。
蓄電池として活用する場合、初期費用も必要になります。リーフに充電した電気を家庭の電気として利用するためには、パワーコンディショナー(V2H)という機器の設置が追加で必要になります。パワーコンディショナーは100万円程度が相場ですが、最近では40万円を切る機種も出てきました。
それでも、電気自動車には、税制優遇や公的な補助があるのでこれらをフル活用することで、負担を抑えることができます。前述のとおり自動車税が軽減されるだけでなく、購入時には重量税3万円が免税となるうえ、クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金として最大40万円の補助が受けられます。
そして何より、自宅で太陽光発電をする人にとってメリットが非常に大きくなるのは前述したとおりです。加えて、環境に優しい次世代カーのオーナーとなれることは、電気自動車が持つプライスレスの価値といえるでしょう。
光熱費や自家用車のコストはそれぞれを個別に考えるよりも、トータルで見直すことで家計の負担が軽減できることもあります。シミュレーションサイトなども上手に活用して、自分に合った解決法を選びましょう。