はじめに

夫の年収が半減して、妻が会社員を辞めた後の世帯年収を予想

ここからは、将来的な収入変動について3段階に分けて考えていきましょう。ご相談者さんはご主人の扶養の範囲内で働くことを希望していますので、今後の収入は月額8万円として試算します。

(1)ご主人が56歳から60歳になるまで
ご主人は額面980万円で働き続けるとした場合、妻を扶養することで配偶者控除が利用できるようになり、手取りが710万円から719万円に増える見込みです。

一方、妻は現在の額面340万円(手取り280万円)の仕事を辞めて、ご主人の扶養家族となります。収入は年収100万円(手取り100万円)とします。世帯の手取り年収は、719万円+100万円=819万円となります。

(2)ご主人が60歳から65歳になるまで
ご主人の年収は、60歳から半減する見込みです。そこで、60歳からの5年間は額面年収が490万円程度になります。この場合、ご主人の手取り額は383万円、妻の手取り額は100万円、合計で年間483万円(1ヶ月あたり40.2万円)になる見込みです。

(3)ご主人が65歳以降、夫婦で年金のみとなった場合
ご相談者さん夫婦の年金額は、月額24万円(年間288万円)とのこと。このうち、妻の年金が100万円程度を占めていると仮定した場合、夫婦の1ヶ月あたりの手取り額は20万円(年間240万円)程度になると思われます。

自動車を持つと月3万円程度コスト増に

現在の生活費は26.8万円です。このうち保険料6万円は、リタイア後には不要になるので差し引けます。

続いて、もう一つの希望である自動車の所有について考えます。月額の駐車場代は1.8万円という事ですが、このほかにも毎月いくらかのガソリン代がかかります。また、車検代や自動車保険代、自動車税も年間コストとしてかかってくるでしょう。車に乗る頻度にもよりますが、自動車所有コストとして、月額3万円程度は見ておいた方がいいでしょう。

以上より、60歳以降の生活費は月額23.8万円(年額285.6万円)と予測できます。

60歳以降の生活費:23.8万円
(内訳) 現在の生活費:26.8万円 自動車保有コスト:3.0万円 保険料:▲6.0万円

これからの人生を3段階に分けて収支をチェック

現在から60歳まで、(2)60歳から65歳まで、(3)65歳以降 の3段階で家
計の収支を見た場合、(1)(2)では、ご相談さんがご主人の扶養に入って、自動車を保有したとしても、家計は黒字を維持できる見込みです。

家計が赤字になるのは(3)65歳以降の年金収入のみになった時ですが、ここで計算する限りでは、1年あたりの不足額は、285.6万円-240万円=45.6万円の見込みです。

65歳以降95歳までの30年間、この金額を取り崩していくとすると、約1,500万円を取り崩すことになります。

ただし、退職時の金融資産は6,800万円あると予測できることから、年金生活に入って年間50万円程度の取り崩しが生じても、大きな問題とはなりません。自動車購入費以外にも、老後に入ると親御さんや自分たちの介護、住宅のリフォーム、お孫さんへの支援など、さまざまな支出があると思われますが、こうした支出を考慮しても、いまと同様の暮らしをする分には、問題は無さそうです。

ご希望の通り、お仕事のペースを落として、ご両親やお孫さんとの時間を確保することを前向きに考えてみてください。

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