はじめに

長く住んでくれる人を探す

――不動産投資のリスクについてはどう考えていますか。

私は幸い、粗悪な物件をつかまされたり、未払いの入居者が居座ったり、事故物件になるといったことはありませんでしたが、3室くらいしか持っていないときに2室が空室になった時はストレスでした。空室リスクをゼロにする魔法はないので、そこは受け入れないといけないでしょうね。

ただ、対策できないわけでもありません。

空室リスクを抑える方法の1つは、長く住んでもらうことです。つまり、退去しそうな人を避ければ良いわけです。

例えば、一般的には「大学生は親が保証してくれるから安心」とか「若い女性は部屋をきれいに使ってくれるから良い」などと言われます。しかし、大学生は卒業した時に退去する可能性が高いですし、若い女性は結婚して退去する可能性があります。

そう考えると、極論としては、見た目が良い若い女性よりも、ずっと結婚しなさそうなおじさんが20年くらい住み続けてくれる方が良いのです(笑)。

――たしかにそうですね(笑)。入居者を確保する方法については何かコツはありますか?

私は客づけも行っている不動産屋から買うことが多いので、営業担当者に頑張ってもらいます。例えば、入居者を見つけてくれたら焼肉に連れて行くとか、頑張ってもらうために株の優待でもらった食事券をあげるといったことはすぐにできますよね。

人は誰かに何かしてもらうと、お返ししなければと思うものです。物件の案内方法は営業担当者がそれぞれ考え、決めていますので、私の物件の質がいまいちだったとしても、条件が悪いところを先に見せてから私の物件を案内してくれれば、借り手はつきやすくなります。そういう頑張りを期待する上で、焼肉代は経費みたいなものなのです。

そういう作戦は入居者の退去を防ぐ時も使えます。

例えば、借り手が事業者の場合はお中元とお歳暮を送っていれば、なんとなく「更新しようかな」という気分になってくれるものです。不動産屋に更新手続きを頼むなら、「本当は相場的に家賃を値上げしたいけど、長く住んで欲しいので据置きます」と入居者に伝えてもらえば、出て行きづらくなるでしょう。

――そこもやはりコミュニケーションなのですね。

そうですね。家賃を下げて入居者を探す方法もありますが、入居者の属性が下がりがちです。できるだけ家賃は下げずに入居者を確保したいですよね。

ただ、それでも空室リスクはゼロにはなりません。私の場合、25平米くらいの部屋で「着付け」の教室をやっている人が入居したことがあったのですが、商売が繁盛し、手狭になって退去してしまったことがありました。別の物件では、両親が保証人になっている新入社員の女性が入居してくれたのですが、半年もしないうちに結婚して退去してしまったことがあります。

商売繁盛も結婚も嬉しいことなのですが、こちらは空室になるので複雑な気持ちですよね。

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