はじめに

人事異動は大大大イベント

「出向ってそんなに頻繁にあるの?銀行員にとって出向って恐怖?→ホント!」

メガバンク銀行員にとっての出向は恐怖です。若手のうちのグループ間人材交流出向や定年間近の出向は問題ありませんが、キャリア形成期や創成期の出向はほぼ片道切符です。その後、銀行に戻ってきても、出世はほぼ望めません。

半年に一度の大きな人事異動は、大変なイベントでした。発表の時間が近づくと新人はPCに張り付き、発表された瞬間に大量のリストをプリントアウトして、上席陣や先輩社員に配ります。

そこから数時間は、リストを眺めながら自分の同期や年代の近い社員がどこに異動したかを入念にチェック。「あいつはこんないい部署にいってラインに乗っている」「あいつはもう完全にラインから外れたな」などという会話が展開されます。

そして、自分が関わった行員にその日のうちに「ご栄転おめでとう!」や「今回は残念だったね」と、内線電話で激励します。これは発表当日に行わないと失礼にあたるとされ、残業してでも電話をかけ続けていました。

銀行員の一番の関心は人事異動です。半沢直樹のように融資課長、次長から子会社証券に出向し、営業第二部次長ポストで返りかえり咲くようなことは、極めて稀なケースだと思います。

伊佐山みたいな上司は結構いる…?

「伊佐山みたいなパワハラ上司、今もほんとにいる?→結構います」

現在のメガバンクは統合を繰り返して様々な人材がいますが、出身行派閥は健在でした。上席がどこの出身かによって気に入られたり、何のいわれもないのに不遇な扱いを受けたりした行員もいました。

当時、異動先の上席がどこの出身であるかは、人間関係に影響していたと思います。今は、旧行出身者が年齢的に中間管理職以上になっているので、その風潮は薄くなっているはずです。

筆者が勤務していたメガバンクでは、直属の上司を飛び越えて相談や報告をすることはタブーでした。私が仕えた支店長は、当時メガバンク史上最年少で支店長になり、非常にオープンな人でした。私もよく支店長室に呼ばれて相談や激励を受けておりました。通常では2、3年目の若手が支店長室に呼ばれるのは、大きなミスか人事面談くらいで、珍しいことでした。

しかし、それを気に入らない上司からは、よく嫌がらせを受けました。支店長が会議などで不在の時に限って、支店の最後の一人になるまで残業を強要されたり、急ぎで必要でない書類をもらうために、顧客の旅行先まで取りに行かされたりしました。

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