はじめに

ある日、先輩のデスクが消えた

信じられないような事件もありました。退社時には必ずデスクの施錠をする決まりで、最後に帰る人が全員のデスクをチェックするのですが、ある日、私の先輩がデスク施錠を失念したのです。その時、怒り狂った副支店長は、そのデスクを金庫室に運ばせてしまったのです。翌朝、自分のデスクが消えていたのを見て、先輩は呆然。全体会議でかなり叱られてしまいました。

金融庁検査は突然やってくる

「金融庁や証券取引等監視委員会の検査って実際にあんな感じ?黒崎さんみたいな人が来る?→検査の目的よりますが非常に厳しいものです」

金融庁検査は基本的にノンアポで突然やってきます。ある程度の期間ごとにメガバンクをローテーションで回っているものと、大きな懸念事項があり突如決定したものとあります。

ドラマの中であったように、告知せずにやってきた場合、朝一に彼らが入ってきた瞬間に全ての業務を辞め、PCなどは触らず指示された書類を粛々と提出します。金融庁検査も厳しいものですが、半沢直樹の第一部でもあった、数年に一度の支店行内検査はさらに厳しいものでした。

実は金融庁検査より厳しい行内検査

朝一、支店開錠者が来る前から、入り口に検査官が立っており、カバンをチェックされます。その後、デスクまでぴったり張り付かれ、PCと机のロックを解除し、何も触らないよう指示されます。行員は、検査官のために会議室を丁寧にセッティングし、指示された大量の書類を用意します。半沢のように他の支店行員が来る前に必死で連絡網を回すことが、新人の仕事でした。

検査期間中は、高級弁当やお土産を用意し、支店長の陣頭指揮の下で、精一杯のもてなしをする支店もあります。検査をパスできない場合は、その期の支店業績評価は最低(評価対象外)となるので、合格できないと支店の雰囲気は最悪となり、何をやっても無駄という風潮になってしまうのです。期末に検査が入っても、不合格であればその期の良好な成績はゼロになってしいます。

私の経験上、支店で何かしらの不備を見つけようと、言い掛かりに近い指摘も多くありました。筆者は2年目のときの行内検査で検査官にたてつき、まさにドラマのように、稟議書ファイルを投げつけられました。

証券取引等監視委員会の検査で、社員が自費で損失補填などをしていないを調べるため、個人の通帳まで提出させられたという噂も耳にしました。半沢直樹における金融庁検査や行内検査のエピソードは、あながち間違っていないと言わざるを得ません。

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