はじめに

リタイア後にかかる生活費を「見える化」する

ご相談者さんは、50歳を機に、リタイアもしくはセミリタイアしたいとのことですが、まずは、リタイア後にかかる生活費を確認してみましょう。

日本人の男性の平均寿命(2019年)は、81.41歳となっており、ご相談者さんが80歳まで生きると仮定して、計算してみましょう。

50歳からの生活費ですが、ご相談者さんによると、関西にマンションを所有しており、車も年内に売却するとのこと。リタイア後にどこを拠点に生活するのかいただいた情報だけではわかりませんが、仮に所有している関西のマンションに引越しをして生活をするとして、管理費・修繕費、固定資産税なども考慮し、毎月の生活費を15万円として計算します。

65歳までの生活費からチェック

まずは、年金の支給開始年齢になる65歳までの生活費を見てみましょう。

・50歳から65歳までの生活費
15万円(ご相談者さんのコメントなどから今後の生活費として想定)×12ヶ月×15年間=2700万円

・50歳から65歳までの収入
この期間の収入として、日本語教師でのアルバイト収入を5万円程度得るとします。
5万円×12ヶ月×15年間=900万円

2,700万円から900万円を差し引くと1,800万円となり、50歳から65歳までの足りない金額を単純に計算すると、1,800万円ということになります。この不足分を現在の金融資産から取り崩すことになります。

現在の金融資産を確認すると、
・現在の貯蓄総額:2,250万円
・現在の投資総額:2,750万円

となっており、預貯金から取り崩すとしても、450万円預貯金が残る計算となります。

65歳以降は病気や介護状態になるリスクも加味して

では、65歳以降についても見ていきましょう。

ご相談者さんが年金事務所に確認したところによると、現在仕事を辞めたと仮定して65歳から毎月15万円程度の年金が支給されるとのこと。ですから、毎月15万円程度の生活を65歳以降も維持することができれば、預貯金を取り崩すことなく生活することができます。

ただし、高齢になると、病気になったり、介護になったりするリスクが高まります。厚生労働省が公表している「生涯医療費」のデータを見てみると、1人の人が一生に使う生涯医療費は2,700万円とのことですが、生涯医療費の約半分は、70歳以降にかかる傾向にあります。そうすると、70歳以降の医療費は、1,300万円程度になります。とはいえ、これは医療費の総額ですから、自己負担は年齢や所得によっても違いますが、1〜3割です。今後は、高齢化が進み医療費の自己負担が増えることが予想されるので、老後の医療費として500万円程度はみておきたいところです。

加えて、介護にかかるお金ですが、公益財団法人生命保険文化センターの資料によると、介護になった時に一時的な費用の平均は69万円、毎月の介護費用の平均は7万8,000円とのこと。介護期間の平均が4年7か月とのことなので、介護費用の平均として約500万円かかります。

ですから、老後の医療費と介護費用合わせて1,000万円見ておくと安心です。

50歳から全く貯蓄ができていないとすると、65歳時点での預貯金は450万円、投資資産も変動がないとすると2,750万円ですから、試算上ではなんとかなりそうですね。

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