はじめに

自分の職歴に「ストーリー」をつけて伝える

――その中で、銀行を味方につけるコツがあるんですか?

はい。滞納歴やブラックリストは事実なのでどうにもなりません。ただ、それ以外のプロフィールについてはコツがありますよ。

先ほど「結婚相手の父親」を例えに出しましたよね。銀行に自分のプロフィールを話すのは、いかに「父親を安心させるか」に似ているのです。たとえば有井さんはフリーランスですよね。その肩書きだけ見たら、お父さんは不安に思うかもしれません。収入は安定しているのか。仕事がなくなるリスクはないのか。そのとき、どうしますか?

――自分がきちんと仕事していることをアピールするというか……

そうです。自分がどんな記事を書いていて、どんな会社と取引があるのか。あるいは年収がどのくらいあるか。それで“売れっ子”だと分かれば、お父さんは安心するかもしれません。

家族構成も同じです。ただ自分の家系図を伝えても意味がなくて、自分が何者で、きちんとした環境で育ってきたことを伝えるのです。父親は仕事で成功して今は穏やかに暮らしている、あるいは兄弟はこんな職業できちんと生活している……。こういった話を聞けば、お父さんは目の前の男が何者か見えてくる。安心できますよね。銀行も同じです。

――束田さんは、どのように銀行に説明するのですか。

A4用紙1枚に自分のプロフィールをまとめて提示します。特に工夫するのは職歴ですね。私はメーカーの人事部で働いて、その後、当時ベンチャーだったファイナンシャルアカデミー(※マネースクール)に転職。今は独立し、外部講師としてアカデミーで教えています。ただ、この職歴をただ伝えてもダメ。ストーリーが大切なんですね。

※モザイク加工を施してあります

私の場合は、メーカー時代に1500人ほどの社員を相手に研修を担当していて、その中でセミナーや研修をするのが好きになりました。ただ、この会社は3年おきに人事異動があり、次第に労働組合との交渉などを担当するようになります。セミナーの仕事ができなくなる可能性が高かったのです。

そこで、自分の好きな研修やセミナーを一生の仕事にしたいと思い、ファイナンシャルアカデミーに転職しました。そして今もセミナーを続けています。転職や独立はしていますが、セミナーや研修という縦軸がキャリアを貫いている。そのストーリーをきちんと伝えると、相手は安心しますよね。

――ただ職歴を見るより、説得力があるかもしれません。

よく「エレベーターピッチ」と言われるテクニックですね。エレベーターに乗っているような短時間で相手を安心させる。その話術は重要です。

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