はじめに

「初心者におすすめの商品は?」「インデックスファンドがいいの?」

こういった疑問は、投資を始めた人がまず抱くものではないでしょうか。2020年10月22日、オンラインセミナー「投資未経験者向け フツーの人にとっての資産運用とは?」が開催されました。

日興アセットマネジメント株式会社グローバルマーケティング共同ヘッド兼マーケティング部長の今福啓之氏が、自身の資産形成を題材に、参加者から寄せられた質問に答えます。

聞き手は株式会社マネーフォワード取締役兼Fintech研究所長の瀧俊雄です。本記事ではその内容を一部抜粋・編集して紹介します。


株嫌いの元証券マンが投資信託を買った理由

瀧俊雄(以下、瀧):今日は日興アセットマネジメントの今福様をお招きし、「投資信託未経験者向けの資産運用とは?」というテーマでお話を伺えればと思っています。それでは今福様、よろしくお願いいたします。

今福啓之氏(以下、今福):皆様こんにちは、日興アセットマネジメントの今福と申します。私は野村證券で10年間、証券営業を行い、その後、投資信託の会社に転職してから20年。早いもので社会人30年目になります。本日はよろしくお願いします。

瀧:今福様は野村證券に1990年入社で、ということはバブルのピークに入社されているのですね。

今福:はい、1989年まではいわゆる昭和のバブルで、12月29日に日経平均株価が史上最高値の3万8,915円をつけました。そこから下がり始めて、翌年の1990年の4月に入社しましたが、あっという間に2万円を割っていきました。

そういった時期に入社して、特に最初の5年間くらいは、株価がずっと下がっていく中で営業していたというのが原体験です。証券会社の先輩に聞かれたら怒られてしまいますが、当時は株が本当に嫌いでした(笑)。

瀧:そんな今福様が、投資信託などを初めて買ったのは何歳の時だったんですか。

今福:32歳で転職してからです。それまではずっと、郵便局の定額貯金と、住宅公庫の積み立て債券ばかりを買っていました。

2000年4月に、とある米国の運用会社に転職したんですが、まず家賃補助がありません。そして、終身雇用ではありません。下手したら即クビになることに入った後に気づいたんです。

そこで、自ら資産形成しないとまずいなと思い、生活費以外をすべて日本株ファンドに積み立て投資し始めました。今となっては日本株式でなく、米国株式で始めておけばよかったと後悔していますが。

54歳となった今の私の金融資産の約95%は、株式の投資信託です。若いころ非常に嫌いだった株式しかもっていないことになります。あとは、本当に万が一のための流動性の預金が少しだけあります。

瀧: 参加者からの質問をみてみましょう。「種金、つまり元手となるお金はどのくらい貯めてから投資するのがいいですか?」。今福様はおいくらだと思いますか。

今福:私も若いころは、種金がある程度貯まってから投資を始めるべきだと考えていましたが、それは間違っていたと思います。とにかく早くスタートさせることが大事、というのが今の私の考えですね。

今年、娘が就職したんですが、どうしたらいい?と聞かれたので、「とにかく生活にぎりぎり困らないくらいのお金を残して、それ以外は積み立ての投資信託を買いなさい」という話をしました。