はじめに

新型コロナの感染者が増加するなか、11月21日に菅首相がGoTo キャンペーンの見直しを表明しました。これを受けて一時的ですが、札幌や大阪ではGoToトラベルから外れることが決まりました。今後も新型コロナの感染拡大が続けば、GoToトラベルから除外される地域が増えるかもしれません。

コロナ禍の影響で我が国の景気は厳しい状況にあります。しかし足元の政府発表からは “持ち直しの動き”が見られるようです。

内閣府が発表する景気ウォッチャー調査は地域別の景気が捉えられるものです。そのなかで、GoToトラベルが地域経済の活性に貢献していることが述べられています。また景気の鏡と言われる株価ですが、日経平均株価が11月17日に29年5ヶ月振りに2万6,000円台を回復するなど堅調に上昇してきました。

このように、景気は持ち直しを見せていますが、GoTo キャンペーンの見直しは、それに水を差すかもしれないと懸念されています。そこでこのGoToトラベルで回復を見せる国内旅行と株価がどの程度の関係があるかを実際に確認してみましょう。


日帰り旅行者数と日経平均株価に相関はある?

11月18日、環境庁から旅行・観光消費動向調査2020年7~9月期(速報)が発表されました。この調査は、四半期ごとに国内居住者の旅行の実態を調査しているものです。7~9月期日本人の国内日帰り旅行の人数は3,953万人となりました。

この人数はいわゆる“延べ”人数ですから、1人が3回旅行すると、延べ3人とカウントしています。この日帰り旅行の延べ旅行者数を2014年1~3月期から四半期ごとにとってきて、同じ期間の日経平均株価とあわせてグラフ化しました。日経平均株価も同じ期間に対応する四半期末の値を使っています。

旅行が増えると、移動のための交通手段や食事、そしてお土産などの様々な消費が増え、景気を押し上げます。また旅行をするのは人々のお財布に余裕が必要ですから、景気が良い時に旅行者が増えるでしょう。

であれば、旅行者と株価のグラフは連動する“はず”と考えられます。しかし単純に並べてグラフ化しただけでは、なんとなく連動しているようにも見えますが、明確に傾向がつかめません。

例えば、旅行には“シーズン”があります。今回、日帰り旅行のデータを使っているため、夏休に極端に増える季節要因は除かれます。それでも旅行日和となる気候が良い4~6月期から夏休みを挟んだ7~9月期に、増える傾向は見られます。

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