はじめに

国内旅行者数は株価予測に使えるのか

さらに季節要因を除くため、データを少し工夫してみましょう。扱う国内旅行者のデータを直前の四半期との差にしました。また、並べる株価も、同じように前年の四半期末との変化(差)にします。

これにより “1つ前の四半期末より、足元は前年と比べて増えたか”を見ることができます。少し技術的なデータ処理も必要となりますが、前年対比の増加をより早く捉えるために行います。結果がこちらです。

旅行者のデータは株価と連動性がみられることがわかりました。そして特徴的なのは、日経平均株価に比べて旅行者のグラフの山と谷が先行していることも分かります(緑の〇箇所)。これは旅行者のデータが株価を先読みしている傾向があることを示しています。

少々専門的になりますが、統計学の分野では2つのデータの関係を見るのに相関係数というものを使います。相関係数が1だと2つのデータが完全に一致して動いていることになります。つまり、通常は1よりも小さな値となり、1に近ければ近いほど連動していることを示します。

具体的な計算方法は専門書に譲りますが、今回、1期先行させた日帰り旅行者数と日経平均株価について、相関係数は0.41になりました。統計学の専門書によれば0.41は“やや強い相関”がある関係です。つまり、日帰り旅行者数の増減は株価に相関するだけでなく、株価を予測情報としてもある程度利用できることが示されました。

直近の旅行者のデータは7~9月期の発表ですが、グラフでは大きく上昇しています。このデータから予測される株価は1四半期期後となる10~12月期、つまり、年末にかけての日経平均株価は好調な推移が予想されます。

ちなみに、今回、国内日帰り旅行者数のデータを使ったのは、週末のお休みにでもちょっとした旅行を頻繁にできるかどうかは人々の経済的余裕に左右され、景気や株価との関係が強いのではと考えられるからです。

宿泊旅行だと、長期休暇などに限られる事情もあったり、国内ではなく海外旅行などを選ぶかもしれません。実際にデータを工夫すると株価との関係が強かったことから、人々の経済的余裕を国内旅行データから捉えるには日帰り旅行が良いことが分かります。

足元は新型コロナの感染拡大は懸念されますが、長期的には旅行の盛り上がりが景気の牽引役となり株価にもプラスとなる傾向を期待したいものです。