はじめに

11月19日、フィリピン中央銀行は、政策金利である翌日物リバースレポ金利を2.25%から過去最低の2.0%に引き下げました。多くの市場参加者が据え置きを予想していたため、サプライズとなりました。コロナ禍で景気が低迷する中、今秋は例年以上に台風が襲来し甚大な被害をもたらしていることから、景気下支えのために利下げに踏み切ったもようです。

昨年まで8年連続で6%以上の成長を達成してきたフィリピン経済。コロナ禍の今、どうなっているのか、詳しく解説します。


新型コロナを封じ込められず

フィリピンは新型コロナ対策に苦心してきた国のひとつです。感染が拡大した3月、政府はマニラ首都圏を中心に都市封鎖(ロックダウン)を実施しました。しかし経済への影響を懸念し、感染が収束していないにもかかわらず5月下旬以降、段階的に制限を解除しました。これにより再び感染が急拡大し、8月には一時1日あたりの新規感染者数が7000人に迫ったため、再びロックダウンを強化しました。

ロックダウンなどの影響から、フィリピンの4~6月期実質GDP成長率は前年同期比-16.9%(改定値)と過去最大の落ち込みとなり、フィリピン経済は約30年ぶりに景気後退(リセッション)入りしました。7~9月期は同-11.5%となり、最悪期を脱したとみられるものの、回復の速度は遅く依然として厳しい状況が続いています。

現在、1日当たりの新規感染者数が2,000人以下まで減少してきたことを受け、再び緩やかな隔離措置へと政策転換しています。しかし、緩急を繰り返しながら継続されている隔離措置が景気回復の重しになっています。

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