はじめに

なぜ企業はフルタイム勤務を求めるのか?

企業が社員にフルタイム勤務を求める大きな理由の一つは、融通性にあると考えられます。職場では日々様々なことが起きます。何か想定外のことやプラスαの仕事に対処したい時、そこに指示が出せる社員がいてくれると安心です。

短時間勤務だと、いざという時に帰ってしまっているということが起きかねません。短日数勤務の場合は、そもそも休んでしまっていることもあり得ます。その結果、“いざという時”にそこにいるフルタイム社員に、業務のしわ寄せが行くことになります。そのようなことが続くと、社員の間に軋轢が生まれてしまいます。

しかし、逆に考えると、想定外のことが極力起こらないように業務調整することができれば、短時間社員でも短日数社員でも戦力化することは可能だと言えます。

それは無理だという考え方が一般的かもしれませんが、短時間や短日数で働く社員がスムーズに戦力化できている職場は実際に存在しています。それらの職場では、一般に無理だと思われていることができているということです。根本的な問題は、組織内の業務設計にあります。

コロナ禍で緊急事態宣言が出された時、一気に“にわか在宅勤務”が広がりました。その際かなり無理な状況が生じてしまったケースもありますが、無理やり在宅勤務をしてみたところ、意外と上手く業務が回せたという職場も少なくありません。

昨日今日という単位で見るとわかりづらいですが、5年、10年というスパンで見ると、確実に柔軟な働き方が実現できる職場の数は増えてきています。短時間や短日数で働ける機会がさらに増えれば、活躍できる働き手は増加し、企業の戦力は潤い、経済発展の原動力となり得るはずです。日本社会は、より豊かになるためのポテンシャルをまだまだ秘めていると言えるのではないでしょうか。

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