はじめに

1)小規模企業共済制度

中小機構が運営する、小規模企業の経営者や役員、個人事業主のための積立による退職金制度です。掛金は1,000円から7万までの範囲内(500円単位)で自由に選択することができます。掛金全額を所得控除できるので、節税効果があります。また、受け取り時も、一括で受け取れば退職所得扱いに、分割受取りの場合でも公的年金などの雑所得扱いになるので税制メリットがあります。また、0.9%や1.5%と低金利の貸付制度を利用できるので、事業資金が厳しくなれば掛金の範囲内で借りることができます。

デメリットには、12カ月未満の掛け捨てリスクがあります。積み立てた共済金は、個人事業主を辞めたり、法人が解散した時に受け取ることができます。ただし、小規模企業共済には元本保証がないので、途中解約しても掛けた月数によっては満額返金されなかったり、掛け捨てになったりすることがあります。そして加入期間が20年未満の場合は、元本割れしてしまいます。また、掛金を加入期間中に増額したり減らしたりすると掛金の区分が変わり、解約時に解約手当金が掛金の合計を下回ることがあるので注意が必要です。

2)国民年金基金

国民年金基金は、自営業者向けの国民年金の上乗せ制度です。イメージでは会社員の厚生年金にあたる制度ですね。毎月掛金を掛けることになりますが、将来の年金を増やすことができます。こちらも、掛金を全額所得控除にできます。月の掛金の上限は6万8,000円で、後述のiDeCo(個人型確定拠出年金)と合わせての上限になります。

国民年金基金は「口数」で購入することになり、金額調整は口数単位でしかすることができません。7種類の「給付の型」が用意されていて自由に選ぶことができますが、長寿化が進んでいますので、終身年金のA型、B型を選択することをお薦めします。A型は65歳から一生年金を受け取れますが、もし途中で亡くなっても10年や15年間分の保険金が保障されるので、遺族が一時金としてお金を受け取れます。B型は、65歳から年金をもらえるのはA型と同様ですが、早くに亡くなっても遺族に一時金は出ません。この他、確定年金のような終身でなく、保証期間が決まっているものもあります。いずれも年齢によっても一口あたりの掛金が異なるなど、複雑な部分もありますので、詳しくは直接国民年金基金にお問い合わせください。

メリットは、A型・B型は終身年金なので、長生きすると得するということです。例えばB型に35歳4ヶ月の方が7口加入したとすると、1口目1万1,340円+6口計2万2,680円=3万4,020円が月額金額になり、60歳到達の前月までの掛金は1,006万9,920円となります。65歳以降でもらえる金額は、年額55万7,900円が想定年金になりますので、ざっくり84歳まで生きれば元をとれることになります。女性は長生きの方が増えていますので、仮に95歳まで生きると受け取り額は1,673万7,000円となり、600万円以上得する計算です。

デメリットは、基本的に掛け始めると個人事業主である間は辞められないということがあります。ただし口数を減らすこともできますし、一時的に支払いをストップすることもでき、2年以内なら追納することも可能なので、フレキシブルな対応は可能です。

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