はじめに

3)iDeCo(個人型確定拠出年金)

こちらも掛金の全額が所得控除され、掛金の上限は国民年金基金と合わせて6万8,000円です。自分で投資対象を選ぶことで運用することができ、運用益にも税金がかかりません。仮に先の国民年金基金と同額の3万4,020円を、35歳4カ月から60歳になるまで複利5%で運用できたとすると1,979万400円となります。3%でも1,488万7,164円になります。自分で投資対象を考えて運用をしてみたい場合は、国民年金基金よりも貰う金額を増やせる可能性もあります。増えた利益についても、60歳以降で一括で受け取れば退職所得控除の対象になり税金を抑えることができます。払うのが厳しくなった場合、途中解約はできませんが、掛金を最低5,000円まで減らすか、支払いを一時的にストップしてもらうことができます。

4)つみたてNISA

こちらは、掛金の所得控除はありません。年間40万円をつみたてNISA口座に積み立てる事が可能です(月になおすと33,333円)。積み立ててから20年間の運用益が非課税になります。

つみたてNISAは制度変更があり、2018〜2038年まで新規積み立て開始ができるルールだったのが、2042年まで延長されました。これにより、合計のつみたて額は800万円から1000万円に拡大しました。これから開始する人も、23年間積み立てることができるので、最大40万円×23年で920万円となります。つみたてNISAは、途中で積み立て金額を変えることも、停止することも、引き出すことも出来るので、どうしても生活が苦しくなったときは、上記の所得控除がある制度に比べると自由度が高いといえます。

どれから始める?

収入が安定せず先々が不安だけれど、投資により運用を行いたいということであれば、まずはつみたてNISAから始めてみてはいかがでしょうか。その上で、生活防衛費を担保し、大きく使う予定がないようであれば、上記の税制優遇制度を活用してみると良いでしょう。所得控除は、仮に200万円の所得の場合、所得税10%と住民税10%ですので、掛金が年60万円だとすると12万円の節税が可能です。

どの制度でなければならないということもありません。どの制度も長期の積み立てが前提になり、老後を見据えたものになります。例えば引越し費用や、車の購入、結婚、旅行など直近で大きな支出の必要があれば、その分は制度活用せず、生活防衛費+αの現金としてお金を持っておきたいところです。

また、無職で同居の弟さんがいらっしゃいますね。どのような事情かわかりませんが、弟さんの生活も見ていくということであれば、ご相談者さま自身が自己投資をして稼ぐ力を上げるという選択肢や、弟さんの自立に向けた投資をするという選択肢もあります。

どのような人生にしたいのか、何が重要かによって制度を活用するべきかも変わってきます。制度を理解の上、必要に応じて使いこなして頂ければと思います。以上、参考になれば幸いです。

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